なついろ 4

□04
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「なるほどね〜、お友達にそんな写真が送られてきたのね。このタイミングで」

 お昼の放送の間、私の説明を聞いた弥生先輩がうーんとうなる。
 少し落ち着いた私は膝の上でハンカチを握りつぶした。

「放送のリクエストと同一人物かしら。嫌がらせにしては回りくどいけど……」

 見えない悪意を向けられていると考えると心臓の奥がぞわぞわする。
 泣くつもりなんてなかったのに、情けない。
 俯く私に、先輩は優しく背中をさする。

「もう先生に言っちゃったから白紙にはできないんだけど、組み合わせはちょっと考え直すわ。久しぶりにリクエストがあったって言ったら先生喜んじゃって」

 放送部の顧問の先生は50代後半の国語の教師で、滅多に部活に顔を見せることはないが、こういうときに目を細めて喜ぶ可愛らしい性格である。
 想像したら少しクスッとした。

「大丈夫よ。今回は私と奈津ちゃんペア、拓磨と行麿くんペアでお茶を濁しましょう」

 ポンポンと私の背中を叩く弥生先輩がとても頼もしく見えた。
 放送時間が終わったので、私たちはそれぞれの教室に戻った。行麿にリクエストの件を伝えるのもメールか何かで弥生先輩がやってくれるとのこと。

 私はこのとき、とても安心していた。弥生先輩に任せれば何とかなると思っていた。
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