other×aichi

□unwavering -番外編1-
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アイチが櫂くんと元通りの関係になってから、僕はレンさんのお家でお世話になっていた
レンさんは、僕に部屋をくれて食べる物もくれた
しかも僕が欲しいと言った物をなんでもくれると言ったのでレンさんの好意に甘えて本を買ってもらっていた
だから、僕は毎日レンさんやAL4の人達とファイトをする以外は本を読んで過ごしていた

今日も同じ様に彼等とファイトをして、本を読んで過ごしていたのだが….
正直、今の僕の状況はあまりよくない事になっている
何故なら、今僕はレンさんの足の間に座って後ろから抱きしめられているからだ
僕は、ため息をついてもう一度こうなった経緯を頭の中で整理した







レンさんは僕が部屋で本を読んでいる時にいきなりノックも無しに入ってきた

「カルマくん〜、今暇ですか?」

「本を、読んでいる…ので、暇じゃない…です」

「えー、そんな事いつでもできるじゃないですかー」

カルマくんはケチです!

レンさんがそんな事を言っていたのが聞こえたが僕は無視をして読書を続けていたのだが、突然背中に衝撃が奔った

「なっ….ん、ですか…レン、さん…?」

僕は驚いて後ろを振り返るとレンさんが凄い嬉しそうな顔で僕をみた

「カルマくんでも驚くことってあるんですねぇ…」

レンさんは何か思いついた様に表情を変えた

どうでも良いことだが、どうしてこの人はこんなにクルクルと表情が変わるのだろう?
僕とは大違いだ…

僕がそんな事を考えていると、レンさんは僕の手を掴むと座っていた椅子から引っ張られた

「ちょ…っ….⁉」

僕は、対した抵抗もできないままレンさんに引きづられて机から離される

「なん、ですか…?」

僕はこれ以上は動きたくないとその場に座り込んでレンさんを睨んだがレンさんは、そんな僕の反応には目もくれずに僕と同じ目線になるようにしゃがみこんだ

「カルマくんが僕の事かまってくれないので、僕がカルマくんに構う事にしました!」

そう言うとレンさんは、立ち上がって僕の後ろに立ってもう一度しゃがみ込むと…

「ちょ…っ⁉な、に…してるん…です、か⁉」

レンさんは僕の事を後ろから抱き込んだのだ
しかもレンさんはぎゅうっと抱きしめてきた

こうして、今の状況が出来上がったのだ





(早く、離れて…欲しいん…だけど、な…)

この状態では本も読みにくいし何よりレンさんが背中にへばりくっついてるせいで重いし暑い

正直、いい迷惑だ…

「レンさん…良い、加減に….っ⁉」

僕が抵抗をするとレンさんはさらに僕にしがみついてきた

「イヤです、離れませんよ…!」

「何で、そんなに…くっつきたがるん…です、か…⁉」

僕は思わず大きい声を出した

「だって、カルマくんいつもさみしそうにしてるじゃないですか?」

「は…?」

僕はレンさんの言っていることが理解できなかった

さみしそうにしてる?
さみしいなんて僕は思ってない
そんな事、思うはずがない…


「僕達を見てる時のカルマくん、すごいさみしそうに見てるんですよ?」

気づいてましたか?

レンさんにそう言われたが自分ではよくわからない
そもそも、自分がどんな顔でレンさん達を見てるかなんて…

僕が俯いて考えているとレンさんは僕の頭にポンっと、手を置いた

僕がレンさんの方を振り向くとレンさんは嬉しそうに笑っていた

「カルマくんがさみしくないように…さみしくならないように僕がずっと、カルマくんのそばにいてあげます」

レンさんは僕の頭に置いていた手を頭を撫でるように動かした

レンさんが手を動かすたびにくすぐったいような、心地良いような感覚がした

僕は、思わず頭を撫でている手に擦り寄るようにしてしまっていてそれに気がついて慌ててレンさんの手から少し距離を取ろうとしたが、まるで見計らったかのように腰に回されていた手でぎゅっと、引き寄せられて結局離れる事は出来なかった

「…レン..さん….あの…」

「カルマくんの髪の毛ふわふわで凄く触り心地良いですね〜」

「……………」

僕はされっぱなしと言うのもなんとなく気に食わなかったから、自分の手を後ろに持っていきレンさんの頭に乗せた
そして、そのまま手を動かしてみる

(レンさんの、髪…サラサラ、だ…)

そのまま撫でながらレンさんの方をみるとレンさんは目を細めながらこちらを見ていた

なんとなく気恥ずかしくなって手を離す

「もう、おしまいですかー」

もっとやって欲しい、と言外に言われたけれど僕は俯いて本で顔を覆う

(僕は、何を…やっているん、だか…)

けれど…

(こう…いうのも、悪くない…かも、しれない…)


僕は、もう少しレンさんの事を知りたくなった
アイチが、知っている事は大抵僕も知っている
けど、それだけじゃ足りない
もっともっと、僕はレンさんの事を知りたい

レンさんは大人びてるかと思えば子供らしい所もあってわがままで甘えん坊で、ヴァンガードが強くて…僕が知ってる事なんてそのぐらいだ

そういう風に人の事を知りたいと思ったのはレンさんが初めてだった
だから、まだ僕はこの欲求の感情を知らないけれどレンさんといると不思議と心が落ち着くここに、この世界に僕がいても良いのだと思えてくる

僕は、ゆっくりと本から顔を離した

そして、レンさんを見る

「…後、少し…なら、撫でて…あげなくもない、です…」

そう言って僕はレンさんの頭に再び手を乗せる
そうすると、レンさんが嬉しそうに笑ったから僕も少しだけ嬉しくなった

だから、

(もう少し…だけ、少しで…良いから…この時間が、長く…続きますよう、に….)

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