kai×aichi

□Black storm
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アイチの意識は闇に呑まれていた何処へいくかもわからずフラフラと漂い続ける自らの身体
そこに一筋の光が見えた
アイチは、その光に手を伸ばし迷う事なく掴んだ








『アイチ』が目を覚ますと辺りは薄暗く目の前には大きな月が見えた

「……ここは…?
…そう….なるほどね…だからアイチは…」

『アイチ』は、軽く自らの近くを見渡す
そして、自らの座っている椅子の肘掛に肘を着いて深く息を吐き出した

「…だから、アイチの意識が全く感じられないんだ….
まったく…こんな馬鹿げた事をする人がいるなんてね…」

『アイチ』は、そう良いながらも口元は笑みの形を浮かべていた
その笑みは見るものを震え上がらせるほとに底冷えしたものだった










『アイチ』はこれからどうしたものかと考える
おそらくこのような状況になったのはアイチの意思ではないのだろうし
もしアイチの意思だったとしても、現在自らが身に纏っている衣装をアイチが着るなんて事はあり得ない

「全く…趣味が悪いね….櫂くんならこういうの喜んだろうけど、『僕等』はあまりこういうの好きじゃないしね….」

アイチは、苛立っているかのように…実際苛立っているのだが….肘掛に手を乗せてコツコツと指で音を出す

「でも、まあ….これから楽しみだね…櫂くん達がどう動くかもだし、こんな事した人間がどう動くかも見ものだね…」

そうは言ってるものの、『アイチ』はアイチをこんな風にした人間など存在するに値しないとまで思っている
確かに、櫂や櫂の仲間達は『アイチ』も信用している
アイチが信頼しているのだから当然だ
だが、これを…この状況を作った人間はどうだろう?
アイチにとって全くの赤の他人なのだ
もちろん『アイチ』もだが…
面識もなければ、知り合いですらない
だからこそ、『アイチ』は彼らの破滅を望む
彼らが、自分達の計画が櫂達によって破綻し慌てふためくところを高みの見物をする
…その光景はとても、素晴らしいものとなるだろう『アイチ』にとって….
まあ、櫂達がここにたどり着けるかどうかは一種の賭けなのだが…
けれど、『アイチ』は確信していた櫂がたとえ一人であってもこの場所へくることは分かりきっているならばもう、『アイチ』に出来る事は….



「ふふっ…大丈夫….アイチは僕が護るからね…こんな事をした奴らを僕は絶対に許しはしない…
どんな事をしてでも後悔させてやる….」

そう、アイチを護る事だけ
『アイチ』はその時がくるまでアイチを護り続ける
そして、時期がきたらそれは…

「…彼らの破綻って事だね….
もう、今からその時が楽しみで仕方がないよ….!」

アイチはそう無邪気に笑いながらも、その双眸から涙を流していた














(…誰か….…櫂…くん…..
僕を…僕達を….た…けて…..)

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