kai×aichi

□unwavering
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櫂くんがリバースした…
その話を三和くんから聞き、櫂くんがリバースした理由を聞いた後しばらくその場から動けなかった
…僕のせいで櫂くんがリバースしたなんて考えたくもなかった

その知らせを聞いた後レオンくんがきて僕に

「貴様の心は櫂トシキにロックされている」

「僕の心が…?」

「今の貴様では櫂トシキに勝つ事はできない」

「……っ……⁉」

確かにそうだろう…
今の僕は考える事を放棄している
でも…




気がつくと自分の部屋にいた
もう、なにも考えたくない…
櫂くんの事も、自分の事も何もかもどうでもいい…

ゆっくりとベッドに横になり目を閉じた




「…ここまで、きちゃったんだね」

「君は…ここはどこ…?」

目を閉じたと思ったら声が聞こえたその声に反応して目を開くと不思議な空間にいた…

「ここはアイチの作り出した空間だよ
そして僕は…」

…君自身の闇そのものだよ…

「僕の闇…?」

僕自身の闇と言われてもいまいちピンとこない…

「そうだね…簡単に言うと君の中の本心、みたいなものだと思ってくれて構わないよ」

「僕の本心…」

僕の本心…僕は一体何がしたいんだろう…?
もう、何もわからない…

突然彼が口を開いた

「櫂トシキが憎いかい?」

「そんなこと…ない、よ」

「嘘だね」

彼は僕が言ったことに反対の意を示した

「なん、で…?」

「いったでしょ?僕は君の本心…そして君自身の闇そのものだと…」

彼は口を歪ませて嗤う

「僕はね?アイチの考えてることならなんでもお見通しなんだよ….」

「っ……!」

一瞬僕は彼に怯んだ
その瞬間彼は一瞬で間合いを詰めてきた…いや、一瞬ではなかったのかもしれない
僕がそう思っただけで…
彼はそのまま僕をその場へ押し倒した

その衝撃で思わず目を閉じる

目を開けると目の前に僕そっくりな顔が僕の顔を覗き込むようにみていた

「ねぇ、アイチ?
僕達で櫂くんを倒しに行こう?」

「え…」

「彼は僕等を裏切ったんだ…
僕達に倒されて当然じゃないか…」

「裏切った…?」

「そうだよ…
彼は、僕らの力を僕ら自身の力ではないと言って否定した…なのに今の彼はどう?
リンクジョーカなんてよくわからないものの力を借りて…
これじゃあ、どちらが本当に自分自身の力を使ってるなんて明白だよね?」

彼は、さらに畳み掛けるように僕の肩を押した

「っ……!」

「ごめん、痛かった?
でもね、僕は理解したよ…
櫂くんは僕等のことを考えてあの事を言ったんじゃない…
覚えてるよね?彼が裏ファイト場で僕らに言ったこと…
あれは、僕らの事を考えて言った事じゃない…
僕らが自分より強くなるのが嫌だったんだよ…」

「そんな事ない‼」

思わずアイチは言い返したが
彼がまた強く肩を押してきたため途中でとどまってしまった

「どうして?だって、今の彼をみてみなよ!
力に呑まれて関係ない人達をリバースして行ってるんだよ…!
これなら、僕らの力…PSYクオリアの方がまだマシじゃないか…!」

(ああ、そうか…)

アイチは、彼の事が理解できた

「…さみしいん、だね」

そう良いながら彼の方に手を伸ばす

彼は、驚いたように目を見開いた

「なにを…⁉」

アイチは、首を降る

「わかるよ、君が僕の事をわかるように僕も君の考えが…心が分かる
僕は、さみしかったんだよ…
櫂くんが僕になにも話さずに一人で悩んで悩んで、悩み抜いた結果がリバース化だなんて事が…」

彼は、動かない

「ねぇ…本当に僕の考えてる事がわかるなら今、僕がやりたい事わかるよね…」

彼は、はっと顔をあげた

「…アイチは、それでいいの?
いままで、彼に言われて使わないようにしてたのに…」

「構わないよ…
PSYクオリアを使って櫂くんを取り戻す…
そのために力に呑まれたとしても僕は構わない
…それで、櫂くんが元に戻るなら」

そう言って彼に微笑んだ

「でも、今の僕じゃ多分櫂くんには勝てない
レオンくんが言ったように今の僕は心の整理がついてない…
やることが頭でわかっていても行動に移せない…
もしかしたら、これは逃げてるだけなのかもしれないでも…
僕は、櫂くんを………」

「…それがアイチの望みなら…良いよ、分かった」

「ありがとう…」

そう言って僕は、少しずつ闇へと落ちていった
最後に見えた彼が、何か言った気がした…








目を覚ますと一気に覚醒した

「アイチ…」

そう、アイチの考えとは
僕とアイチが入れ替わること…
けれど…

「僕はこんなことがしたかったんじゃないのに…!」

それもこれも、全部櫂トシキのせいだ…!

うだうだ考えていても仕方がないので
とりあえずベッドから降りて部屋の窓のカーテンを開けると夜が明けていた
しかも、

「雨…
最悪、だね」

仕方ない…自然現象はどうにもならない

少し鬱々とした気持ちでしたに降りると母が朝食を作ってくれていた
それを食べていると母が話しかけてきた


「アイチ、大丈夫…?」

「どうして?」

「昨日、帰ってきた時から少し元気がないみたいに見えたから…
何かあったの?」

「…なにも、なかったよ」

僕は、今できる精一杯の笑顔で応えた

「そう?それならいいんだけど…」

母はまだ心配そうにしていたが、それに気づかないように自分の部屋に戻り引き出しからシャドウパラディンのデッキを取り出した

「….久しぶりだね」

そう言ってPSYクオリアを発動した
脳内に一気に駆け上がるこの感覚…久しぶりすぎて忘れていた感が取り戻されていく感じ…心の中に芽生える衝動…それを抑え込み
デッキを机の上に置き新しく組み立てていった








デッキは昼頃までかけてようやく出来上がった
外をみるとまだ雨が降っていた
出来上がったデッキをケースにいれ下に降りると母と妹が話しているのが見えたそれを横目に玄関へと向かう

「アイチ!」

「どうしたの、エミ?」

「どうしたのって…
アイチこそ、どこいくのよ⁉」

この時ばかりは妹の世話焼きが憎らしく思えた

「カードキャピタルだよ」

「なら、私も….!」

「ダメだよ」

「なんで…!」

「エミには無理して欲しくないし危ない目にあって欲しくないんだ」

そう言うと、渋々だが引き下がってくれた

玄関から外に出ようとすると

「アイチも無理しないようにね!」

「うん、いってきます」

アイチは家から出ると傘をさしながらカードキャピタルまで走った

(無理しないでってのは守れないかな…)





カードキャピタルまでつくと中にはミサキさんと店長しかいなかった

「きたんだ…」

「はい…あの、ナオキくん達は…?」

「今日は、まだきてないよ」

「そうですか…」

おかしい…ナオキならあんなことがあったあとだし何かアクションを起こしてもいいはずなんだけど…

そこまで考えてはっとした

「まさか…」

その考えがほとんど正解だとわかり急いでカードキャピタルから出ようとした

「まって…
どこいくの?」

「学校です」

「学校…?」



そのまま、ミサキさんの静止を振り切って学校まで走った

学校についた頃には、学校は静まり返っていた
校舎に入り話し声のする方へと行くと

「みんな…!」

「お、アイチじゃねーか!」

そこには、ナオキとその他に生徒会長などがいた

「これは一体…どうなって…」

「僕達で学校のみんなのリバースを解除したのです!」

「解除?」

「やったのはほとんど俺だけどな!」

ナオキが胸を張ってそう言っているが既にフラフラで疲れ切っているように見えた

「…櫂くんがやったことによってアイチの友達にも迷惑がかかってるなんてね」

皮肉だね…

そういった僕の言葉はおそらく誰にも届いてないだろう

僕は、ナオキ達に背を向けて歩き出した

「どこに行くんだよ?」

「……………」

その問いに答えずに僕は、校舎をでた

「…櫂くん、僕は君を止めたいわけじゃないけど…
アイチの為だからね…君を…………」

そういって歩みを進めた




(待っててね、アイチ…必ず僕が………)
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