□島さん
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「あ!名無しさんさんじゃないっスか!もー!どこいってたんすか!しばらく顔見てないからどっか行っちまったのかと思いましたよ!」



数日間休みをもらって実家に帰っていた名無しさんは、久しぶりに戻った矢先
島左近に呼び止められた。

「あの…お久しぶりです
すみません…お暇をいただいてまして…」


「なんで言ってくれなかったんだよー!そうと知ってりゃー俺も休みもらったのに!
酷いっすよ!名無しさんさん!」


左近はそう言い、名無しさんに詰め寄った。

「でも、実家に帰っていましたので…」

「だーかーらー!俺も連れてけってのー!挨拶さしてくださいよー!親御さんに!」

そう早口で言われ、たじろぐ名無しさんにお構いなしに左近は

何故連れて行ってくれなかったのだと喚いていた。


「で、でも、今度はちゃんと声かけますから…」

やっとのことで、そういいきると、左近は不安そうな顔をした。


「…今度って、いつッスか…
今度今度って、いつも連れてってくれねぇじゃん…

名無しさんさんは…さ、
俺と一緒になるのがヤな訳…?

嫌いになったのかよ…
それとも…他に、
…いい人でも……」



今にも泣き出しそうな顔で下を向いてしまった左近に、名無しさんは罪悪感をおぼえた。

下を向いてすっかり落ち込んでしまった左近に

そんなことないですよ、あなたが大好きですよ、

と言うと、
左近は急に顔を上げ
ニッと笑った。


「よーっし!そうと決まれば早速お暇をいただこう!三成様に話を通してくる!

すぐ親御さんへ挨拶に行くから!ほら!支度支度!」


さっきまでの暗い表情はどこへ行ったのか。
いつも口車に乗せられてしまう。



名無しさんはやられた、と思いつつ、再度実家に帰る支度を急ぐのだった。

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