ワンピース

□監視と脱退
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晴れ空の広がる海。その下では海賊器をひっさげた海賊船がゆうゆうと海を横切っていた。

そんなハート海賊団の船の中にある食事をとるように設けられていた広場で、周りの大きな大人たちとじゃ異なり華奢でかわいらしい少女がフルーツとサンドイッチを机に並べていた。

ピンク色の長髪はこの船唯一の華とされる5年前この海賊国へ入ってきた懸賞金1億7000万ベリーの少女、ティルト通称幻覚使いのティルトのもので、今から食事らしい所だ。

そんなティルトを見ては声をかける仲間。その中でもペンギンとシャチは一目おいて仲が良く、サンドイッチをちまちまと食べ進めるティルトの隣へどかりと腰を下ろす。



「あ、ペンペン、シャチ」



隣へ座った二人にピタリと手を止めれば自分の前に多く並べていた果実を二人の前へと寄せる。

もうそれが当たり前となっているのか、目の前に出された果実の中から葡萄を摘み上げぱくりと口へ運ぶシャチは、それをごくりと飲み下し午後から暇ならナイフ遊びか釣りでもしようかとティルトへもちかけた。しかしそれに首をふるティルト。



「誰かと先約でもあったか」



少し残念そうなシャチを見てペンギンはティルトへそう告げた。

しかし帰ってきた答えは予想とはだいぶ違い、船に乗っていた全員が驚愕するような内容だった。



「ううん、ローのところに行かないといけないの。ここを辞めようと思って」



発せられた重たい言葉をさらりと軽く言ってのけるティルト。

本来なら悩みぬいた末に重々しく語るものゆえに一拍おいて意表を突かれたように「「えええぇーーーー!!!!??」」と大きな声で騒ぎ立てる。



「は、え…ちょっ、辞め…!?」

「本気なのか!?」



席を立ち慌ただしくティルトへ話しかけるペンギンとシャチ。その大声につられて食堂にいた乗組員の視線がざっとティルトたちに注がれる。

「何を騒いでやがる」

大きくなった騒ぎを聞きつけて丁度昼食へやって来ていたローが3人のもとへと歩み寄る。
問題のティルトはけろりとしているものの、シャチとペンギンは慌てふためく。

それもそのはずで、普段からべったりと引っ付くタイプのティルトをはじめこそ多少うざがっていたローだが、現在に至ってはお気に入りであり、そのティルトがここを辞めると、それも突然言い出すものだからイラつき暴れてもおかしくはない。
むしろ怒らず暴れずの方がおかしいのである。

何の騒ぎかわからずにただ慌てるペンギンとシャチを横目に見るローにティルトが口を開いた。



「あ、ロー。後でローのところ行く予定だったんだけど…手間が省けたね」



いつも通り無表情なローを振り返ってはへらりとし、あくまでも普段と変わらぬ調子で声をかける。

“後で行くつもりだった”というティルトに何か用でもあったのかと僅かに首をかしげるロー。
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