ワンピース

□出会いと幻
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よく晴れた南の海に浮かぶ秋島の一角にある港に一隻の海賊船が着船した。

その海賊船はJolly Rogerの海賊旗を掲げたハートの海賊団で、船着き場に着船するなり中から船長である一憶300万ベリーの懸賞金をかけられている男トラファルガー・ローと赤茶色の髪にキャスケットと被ってサングラスをかけたシャチ、ペンギンのようなカラーのキャップを被ったペンギン含め乗組員と同じ白のつなぎを着たペンギンをはじめとして他食糧調達に出ると思われる乗組員6人が下りてきてはそれぞれ3-6に分かれた。

ロー、ペンギン、シャチは島を一通り見る探索のほうへ、残りの6人は市場へ出てログの溜まる間に食糧を調達に向かう。

“おれ達はこっちだ”とローを先頭として三人が港を境に歩み始めた。



「意外と広いっすね、この島」

「“秋島”ってだけあって作物も豊富だし食糧調達に此処を選んでよかったですね、ログもすぐに溜まりそうですし」




シャチとペンギンがローに向けて話すもその話しかけられた本人は行く先で枯れた木をじっと見つめる少女を見ては足をとめる。



「…村娘か?」




ぼそりと思ったことを口にしてはこちらに気づいていないであろう少女の様子をその場を動かずに伺った。

シャチたちはそんな様子のローの一歩後ろで不思議そうに互いを見合わせる。
おそらくそれから10秒も経たぬうちに少女はローたちに気づいたようにちらりと3人を見ると目の前にあったかれた小さな気に指をそった向けた。

何をするのか、と依然として少女のほうを向くローの手前、少女の指の向けられた枝先からポンッと白い花が咲く。

それに驚いたように見入る三人、今度はそんなん3人に向き直りにひ、とはにかむように笑い両手を広げた。

瞬間、ローたちの周りの葉や果実がポンポンっと小さな音を立てて色とりどりの花へ姿を変え、大きな鳥が少女を咥え去っる。

あまりに突然な展開にぽかんとする三人。
そこへ突風が吹けば今まで目の前に広がっていた風景が蜃気楼のように消え少女もおらずその場は静かになった。



「え、……え?」

「消え…ってか今のなんすか!?」

「…行くぞ」

「「ええーっ!?ここ進むんですか!!?」」



静かになったそこを一度瞬きすれば冷静に一歩前へと歩みを進めるロー。
そんな後ろで二人は何があるかわからないと騒ぎ立てる。



「ギャーギャー騒ぐな、置いてくぞ」


――――――――



「村長、海賊の客人です」



あれからずんずんと進み島を半分ほど回ったところでロー達がたどり着いた先にあった村。
そこは秋島のロー達が初めに船をつけたところに隣接するオウカ村で、先ほどの少女のことが気になった3人はさっきの場所から近い村の長なら何かわかるだろうと聞きに来たのだ。



「…少し手前で蜃気楼のようなものと少女を見た、この村には何か特有の幻を見せるような草花があるのか?」


あるとしたら持ち帰っておきたい代物。

そう考えるローの手前この村の尊重である老人はふぉっふぉ、と笑いだした。

その様子にやはり何かあるのかと、もしそれが薬草なら持ち帰る許可を貰おうと口を開こうとしたロー。その時だった。



「じい様ー」



一方後ろにいるペンギン達のその後ろ…家の戸の後ろから少女がひょっこりと顔を覗かせた。

背丈は140pほどで櫻色の肩までの髪を風に揺らし、茶ピンクの丸い瞳をぱちりとさせ、左に分けられ覗く右目に縦に並んだ二つの泣き黒子のおそらくは12,3歳程であろう女の子。

それは先ほどロー達が蜃気楼もとい幻覚を見たときにその原因となると予測されていた少女だった。



「「さっきの女の子!!」」

「…人間だったのか」



少女を見るなりペンギンとシャチは声を揃えて驚いたように指を指し、ローは振り返った恰好のままで小さく紡ぐ。
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