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□e,14 傷の男
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額に大きな傷≠ネんて大きさも位置もわからなくて抽象的だと思っていたけど、この大きさならその表現でも一発だ。
「エルリック兄弟が見付かったので少し待っててくださいね。‥エドワードさん!」
私はその人物から目が離せなかった。
きっと─‥いや、絶対にそうだ。
目線の先にいるのは─‥
「エドワード・エルリックさん!」
憲兵が名前を呼びながら駆けていく。
その瞬間──
その人物の目付きが変わった。
声は聞こえなかったが確かに口が動いた――
“エドワード・エルリック──”
ヤバイ!!!!!
傷の男だ!エドワード君が危ない──!!!
慌てて立ち上がって振り向くと、兄弟に話し掛けている憲兵。
そのすぐ近くには彼等に歩み寄る傷の男。
名無しさんは夢中で走りだした―
間に合え
間に合え
間に合え!!!!!
「〜〜─ぶない!!!」
ドン!!!──ズシャア
ズボンから腕を出す男の動作が見えて凶器を出すかと思って私は思いきり憲兵を突き飛ばした。