□e,34 今日の献立1000種
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本が大好きで大好きで
分館に就職ができた彼女は

本が大好きで大好きで
仕事中に本ばかり読んでクビになり

本が大好きで他のことが不器用な代わりに、
読んだ本は忘れない才能を持っていた








e,34 今日の献立1000種




「いやぁすみません。かなりの量だったもので写すのに五日もかかってしまいました。ティム・マルコー氏の研究書の複写です」


ドサッと置かれた山積みの資料。五日もかかったというが五日でできたのが不思議なぐらいの紙束の量だった。


「これ、全部?」
「‥‥本当にやった‥‥」
「世の中にはすげー人がいるもんだなぁアル‥‥」


研究書、という響きに抵抗はありつつ名無しさんもアルフォンスとエドワードに続いて紙束に近付く。


「うわぁ‥そうかこんなに量があったんじゃこれ持って逃亡は無理だったんだねマルコーさん」
「これ本当にマルコーさんの?」
「はい!ティム・マルコー著の料理研究書『今日の献立1000種』ですっ!!」





は?







e,34 今日の献立1000種



「砂糖大さじ1に水少々を加え‥‥‥本当に今日の献立1000種だわ‥」
「君!これのどこが重要書類なんだね!!」
「重‥!?そんな!私は読んだまま覚えたまま写しただけですよ!?」


ロス少尉とブロッシュ軍曹が呆れる一方でエドワードとアルフォンスはぺらぺらと紙をめくっている。名無しさんはといえば五日で写したという紙の束に驚きを隠さず興味津々に読んでいる。

「という事は同姓同名の人が書いた全く別の物!?お二方これはムダ足だったのでは?」

ブロッシュ軍曹の言葉は二人には届いていないらしい。そして数枚ページをめくり終えたエドワードが顔を上げる。


「これ本当にマルコーさんの書いたもの一字一句まちがい無いんだな?」
「はいっ!まちがいありません」

「あんたすげーよ ありがとな」


にっと笑ったエドワード、そしてアルフォンスが名無しさんの肩を叩いた。


「よし!アルこれ持って中央図書館に戻ろう!」
「うんあそこなら辞書が揃ってるしね」

はいこれ名無しさんの分。
紙束の一角を渡されて慌てて受け取る名無しさん。アルフォンスが頷いたのを見て、笑った。


「ーっとお礼お礼‥ロス少尉!これオレの登録コードと署名と身分証明の銀時計!大総統府の国家錬金術師機関に行ってオレの年間研究費からそこに書いてある金額引き出してシェスカに渡してあげて」
「はぁ‥」
「シェスカ本当にありがとな じゃ!」


アルフォンスについて名無しさんが、エドワードについてブロッシュ軍曹が外に出た。



「キャー!!なんですかこの金額!!」
「こんな金ポンと出すなんてなんなのあの子!!」


「!っなっなに‥!?また本崩れた!?」
「ん?違う違う、大したことないさ」
「わっ!‥そうなの?」
「そうそう」

シェスカとロス少尉の叫び声に驚いて振り返れば後ろから来たエドに後頭部を鷲掴みされて前を向かされた。‥なんで叫んでたんだろう?


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ねえねえところでマルコーさんって誰なの?

あ、お前知らなかったのか?
そういえば名無しさんいなかったもんね

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