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□e,18 逃。失敗。再逃
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別に驚いたわけじゃない
自分の中の何処かでわかってたんだ‥
身分も存在もよくわからないような私を当たり前のように傍に置いてくれるなんて‥‥
でも確かに
この瞬間まで忘れてたよ
e,18 逃。失敗。再逃
立ってる感覚がしない
もうこれ以上聞きたくない
この扉から離れたい─!!
─バタン‥‥
「!─名無しさん!?」
バランスを崩した名無しさんは回転扉で向こう側へいってしまった。
慌てたのはヒューズ。
ロイは言葉を失っている。
「‥‥‥」
名無しさんは座り込んでうなだれたまま黙っている。
「‥‥名無しさん、今の話‥聞いてたか‥?」
ヒューズがそっと問い掛けると名無しさんの身体がビクリし、そのまま立つと外へ出るドアに走った─
「待て名無しさん!!」
グ─
ロイが慌てて名無しさんの腕を掴む。
「‥離して‥‥」
「お前は勘違いしている。」
「離して‥」
「私の話を聞け!」
「─離して!!!」
普段出したことのない名無しさんの大きな声にロイは怯み、その隙に名無しさんは腕を抜くと外へ出ていってしまった。
「‥名無しさん‥‥」
バン─!!
「なんか今名無しさんがすげェ勢いで走ってったんスけど‥?!」
とりあえずブレダとファルマンが追いかけた。とハボックが慌てて顔を出す。
やれやれと困ったように額に手を当てるとヒューズは動かないロイを見てため息をついた。
数分後、ブレダ達が息を切らせて戻ってきた。