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□ue,16.5 変態佐?変大佐?
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傷の男とのどんちゃんも落ち着いて、プチ家出した名無しさんをお姫様だっこで連れてきたときの大佐はなんというか、
「大佐!名無しさんは無事ですか?」
「無事といえば無事だがな、怪我をしている。」
名無しさんを抱く大佐の元へ駆けていったハボックは彼女の真っ赤に染まった膝を向けられ、一歩下がる。
「うわ!なんでまたこんな怪我‥」
今現在も少量だが流れ続ける血は痛々しくて正直あまり見れない。兄弟曰く彼らを守るために飛び出したとか何とか。
しかしそれとは反対に名無しさんは大佐の腕の中で力が抜けきったように眠っている。とりあえず安心した。
「じゃあとにかく膝の消毒をしましょう。」
眠る名無しさんを受け取ろうと腕を伸ばした。
が、大佐は受け渡す素振りを見せない。
「大佐?」
「私がこのまま運ぼう。ハボック、車を出せ。」
そういって大佐は名無しさんを抱えた体勢のまま車に乗って、司令部に戻った。
今すぐする仕事があるだろうに周りにばれないように人払いまでさせて、ただとにかくソファに寝かせるまで名無しさんを離そうとしなかった。
大事そうに抱えて彼女の顔をジッと見つめている。過保護だとは思っていたがこれじゃまるで変態だ。
ue,16.5 変態佐?変大佐?
「ん─む‥‥?」
「お、起きたか?」
呆けた声を出して名無しさんが目を覚ました。
「‥おーい、意識あるか?」
頭だけゆっくり動かしてこちらを向く名無しさん。
たぶん今の状況がよくわかっていない。
「‥おはようございます。‥おはようございます‥?」
ほらやっぱり。
とりあえず空腹の名無しさんのために用意してある食事を取りに部屋を出た。
するとちょうど同じタイミングで大佐が部屋に来た。俺の姿を見た瞬間足早に近づいてくる。
「名無しさんは目を覚ましたか!?」
え、なんだこの勢い。
大佐らしくもない必死な感じ。
「今起きたとこですよ。まだ呆けてますけどとりあえず何か腹に入れてやらないと思っ‥て‥‥」
最後まで言えなかった。
起きたことだけ聞くとあの人すごい勢いで名無しさんの部屋に向かっていったから。