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□ue,15.5 瞳の奥
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少なからず自分の存在が、要注意されていることぐらいは知っていた。
きっとあの軍の女も特徴か何かを伝えられていたから己れが国家錬金術師ばかりを狙っている人物だとわかったんだろう。
ダンッ──
どこからかいい気分のしない感情に傷の男は冷たいコンクリートの壁を殴った。
不本意な退却を強いられてしまった。
あれだけ国家錬金術師がいたのに惜しいことをした。
しかし彼にこんな感情を運んだのは彼等ではなく、時計台のところで彼を邪魔した一人の女軍人‥──
ue,15.5 瞳の奥
確かに彼女は怯えた表情をしていた。
殺されるかもしれない不安を抱いている様子は見ればわかったし、実際そうしてやるのも別にかまわなかった。
ただ自分の本当の狙いは国家錬金術師であって他には特に興味はない。
だから気にもとめずに一瞥してエルリック兄弟を追い掛けるのに専念した。
ただ、途中で脳裏をちらついたのはあの女の目だった。