恭弥と過ごしたカウントダウン

□2007.12.26.(wed)
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「てな訳で、お前に特別任務を言い渡すぞ。心して聞け」

「どんな訳だよ、大体!せっかくの冬休みになんで学校に来なきゃ行けないんだよ!」

「今日から5日間、お前には過酷な試練に挑んでもらうぞ」

「人の話し聞けよ!!なんなんだよ!その試練って!!」


どうせ逃げられるわけないんだから、さっさとしてほしい


「珍しく素直だな、試練とは雲雀恭弥の元でボスとして必要なことを学んでくる、ただそれだけだぞ」

「はぁ?!なっ!はぁぁ?!!」

「ヒバリは例の如く応接室にいるからな、風紀の仕事を手伝いながらボスに必要なことをきっちり学んで来い」

「いやいやいや無理だって!!なんだってヒバリさん?!大体俺が行った所で咬み殺されるだけだって!」

「俺のほうから話はつけてあるから大丈夫だ、半分信用しとけ」

「半分はなんなんだぁ!!」

「つべこべ言ってねぇでさっさと逝きやがれ」

「漢字変換間違ってるー!!」






=== 12/26(水) === 一日目 ===






「し、失礼しまーす…」


リボーンの言うことを聞くのは癪だけど、来なかったら来なかったでヒバリさんにもリボーンにも殺されるに違いない

俺に選択肢はないわけで、仕方なく応接室の扉を開いた

冬真っ盛りの校内は人っ子一人見当たらなくて、年末だからか教師の姿も見受けられない

そもそもこんな朝早くに人がいることがおかしい

それでも、ヒバリさんはそこにいた


「あぁ、赤ん坊から話は聞いてるよ、沢田綱吉」

「ど、ども…」

「悪いけど、僕は忙しいんだ。五月蝿くしたり邪魔になるようなことをしたら問答無用で咬み殺すから」


ひぃー!!やっぱりヒバリさん怖いよぉー!!

あぁでも静かにしてればいいんだ、それだけでいいならいくらだって静かにしててやる

…でも


「……忙しいって、この資料の山…」

「全部風紀の仕事の一部だよ、まだまだ残ってる」

「これで一部ですか?!っていうかこれ全部一人で?!」

「そうだけど、何?」


さも当然、って言いたそうなヒバリさんの表情

思わず圧倒されてしまう反面、尊敬してしまう

こんな大量の資料整理をたった一人でこなそうというのだ

そこら辺のサラリーマンにも負けないんじゃないかな?


「…俺、なにか手伝いましょうか?」

「は…」

「―――…っ!」


うわー!何言ってんだろ俺!

ただでさえダメツナなのにこんな資料整理なんか手伝えるわけないじゃん!!

ヒバリさんの視線が痛い!痛い痛い!!


「…いいけど」

「え」

「そのテーブルの上にある資料、全部判子待ちだから適当に押して職員室横の資料室に置いてきて」

「え、は…?え?」

「手伝ってくれるんでしょ?それとも何、そんなこともできないのかな、君は」

「い、いえ!そんなことは!!」

「そう」


呟いて、資料に集中するヒバリさん

慌ててテーブル脇にあるソファーに座ったのはいいけど…

目の前にあるこの資料の山を崩さずに一つ一つ判子を押すとなるとけっこう大変かも

それにしても、これ全部判子待ち、ってことは


「…これ全部、目を通したんですか?」

「……そうだけど」

「うわー…」


俺には絶対にできない

素直に、すごいと思った


「………よく、わからないね君は」

「え?」

「なんでもない」

「……」


お、俺なんか気に触るようなこと言ったのか?!

でもトンファーが飛んでこないってことはそうでもない、ってことかな

そういえばまだヒバリさんのトンファーを見てない

それだけ忙しいってことかな…

……とりあえず、この資料の山と格闘しなきゃ


そのとき俺は、ヒバリさんの視線になんて気付いていなかった


   
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