初代×雲
□tempesta =前編=
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嵐の中を、炎が飛ぶ
死ぬ気の炎の逆噴射を利用して飛ぶジョットは、一般人からすれば未確認飛行物体に見えるかもしれない
「あそこか」
町の中心部にある、一際大きな屋敷
明かりの点いたその屋敷の前に降り立つ
もちろん、周りを囲む塀を越えて、入り口の前に降り立ったために門番は気付くこともなく
「さて、攻撃開始、だな」
1つのファミリーを潰すのに、そんなに時間は掛かるまい
ジョットは表情を切り替えると、扉を開け放った
=== tempesta ===
「……ジョット、今何処にいるかな」
「そんなに心配か?」
「だって、こんな嵐だし…」
「大丈夫だって、プリーモは強いからさ」
「…うん」
屋敷で、書類整理をしている雲と雨
窓に吹き付ける風の音が、やけに五月蝿く感じる
机に向かっていた雲は、背後を振り返る
窓の外は、先が見えないほどの土砂降り
雷鳴も轟いている
こんな中、ジョットは出かけていった
心配しない方がおかしい
でも、雨は大丈夫だという
「…大丈夫、だよね」
心のどこかで、ジョットなら大丈夫って思ってる
でも、なんだろう
この胸騒ぎ
「……ねぇ、雨」
「ん?」
「………ううん、何でもない…ちょっと憚りに行ってくる」
「あいよ」
きっと、雨に言ったら僕はここに残される
そんなの嫌だ
僕だって守護者なんだから
守るべきものが、あるんだから…