∞×雲雀恭弥

□May I kiss you?
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「あー…なんとか落ち着いたね」

「すみません、俺の部下がへまやったばっかりに」

「命に別状は無いんだから、大丈夫だよ」


ミーティングルームで報告会

みんなぐったりと疲れた様子だ


「お疲れ様です、珈琲でも如何ですか?」

「わぁ〜ありがとうランボ〜」

「け、アホ牛にしては気が利くじゃねぇか」

「ごめんね、ランボ…せっかくの誕生日なのに…」

「良いんですよ、毎年祝ってもらってますし」

「毎年祝わなきゃ意味無いじゃん、年に一度しかないのにさ」

「その気持ちだけで充分ですよ」


それに、一番祝ってもらいたい人に祝ってもらわなければ意味がない

ランボはお盆を持ったまま、ミーティングルームを出て行こうとする


「あれ、ランボもう戻る?」

「えぇ、先に休ませていただきます…ボンゴレも獄寺さんも、ゆっくり身体を休めてくださいね」

「うん…ありがと」

「では、お先に失礼します」

「…あ!ランボ!」

「はい?」

「誕生日おめでと!」


祝う祝うといっておいて、肝心の言葉を言っていなかったことに気が付く

そういえば言われていないな、と思いランボは笑顔で返した


「ありがとうございます」


無機質な廊下を、部屋に向かって一人で歩く

部屋の扉に差し掛かったところで、ぼふんっと大きな音と煙が周りを包み込んだ


「また、10年前ですか…」


慣れてしまった感覚と、これまたタイミングの悪い、と一人息を吐く

煙が晴れて、見えたのは真っ暗な道

どうやら、自分はどこかへいこうとしていたようだ

こんな夜遅くに、一人で何処へ……


「あれ、君…」

「!」

「何、また例の何とかバズーカってやつ?」

「……ひ、ばりさん」

「何、人をお化けでも見るような顔して…」


暗い道の向こうから歩いてきたのは

今、逢いたくて…逢いたくて仕方が無い人の10年前の姿

どうしようもない衝動にかられて、涙が溢れてきた


「…何いきなり泣き初めて…まだ何もしてないんだけど」

「俺の前に現れた時点でなにかしてますよぉ」

「はぁ?」

「逢いたかったんですから〜!」


10年後の世界で、今なにが起きてるのかなんてさっぱりな10年前の雲雀恭弥にとってそのセリフはわけの分からない物でしかない

仕方がないな、と息を吐くとランボに近づいていく


「ほら、仮にも僕と同じ年のくせに…子供みたいに泣くな」

「ヒバリさんの方が10も年上ですよぉ」

「それは現実の話でしょ…今は関係ない」


ポケットからハンカチを取り出して、呆れたようにランボの涙を拭ってやる

鼻をすするランボに苦笑を漏らす


「それに、今日って君の誕生日なんでしょ?」

「な…なんでそれを…」

「赤ん坊から聞いてるよ、子供の君が、僕に逢いに行こうとして迷子になってるってね」


なるほど、それでこんな時間に一人で外にいたのか

などと、一人で納得する

10年前のことなんて、よく覚えていない

まったく、子供の頃から何一つ変わらない


「僕には関係ないと思ったけど…僕を探してくれてるなら、僕も探してあげなきゃって思ってね」

「う〜…ありがとうございます…」

「もうそろそろ5分経つんじゃない?戻ったら僕に祝ってもらいなよ」

「でもヒバリさん、今出張に行ってて…」

「ふぅん…でも、期待してみても良いんじゃないかな?」

「え?」

「だから、僕から祝いの言葉は言わないでおくよ」


瞬間、再びぼふんっと音がして、煙に包まれる

目の前にいるのは、子供のランボ


「お!ヒバリ!!」

「お帰り、ランボ…誕生日おめでとう」

「にゃははははー!おれっち!今日から大人になったんだもんね!」

「へぇ…それは頼もしいね」


さて、10年後では今頃…

恭弥は10年後の事を思い浮かべながら、ランボを抱きかかえて沢田家へと足を向けた













 
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