初代×雲

□雨のち曇り…霧が晴れて大空広がり
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「…まったく、この世界にいる人たちは皆、どこかしらで道を踏み外している」


でもそれは、自分にも言えることなのだけれど…

そう思いながら霧は、目の間に広がる紅を汚い物でも見るような眼で見ていた


「おーおー、派手にやったな、霧」

「プリーモ…そちらこそ、片付いたんですか?」

「ん?俺はとっくに終わっているぞ…ずっとそこでお前が戦っているのを見ていたがな」

「…悪趣味ですね」

「今更」


そういうと、霧はその屋敷から出て行く

後を追うようにして、ジョットも屋敷を出た

そして、屋敷は炎に包まれる


「そうだ、霧よ」

「はい?」

「俺は道を違えた事など無いぞ」

「…というと?」

「始めから、狂っていたのだ…この世界は、な」

「……」

「生れ落ちた日より、もとより狂っていた…だったら、道を違える事など出来ないだろう?」


炎をバックに言うその言葉

威圧感、絶対的存在、揺るがないその瞳


「なるほど…まったくその通りですね」


この人が言うと、それが本物になる

だから、道は違えない


「さて、早々に屋敷に戻らねばな…雲が待っている」

「もう寝てるでしょうけれど」

「当然だ、そうでなければ身体に障る」


二人で燃えしきる屋敷などには目もくれず、アジトへ帰る

たとえ間違った道にいるのだとしても

その間違った道を共に歩んでいる家族が待っていてくれる


「一番道を違えたことに気付いていないのは…雨なんでしょうね」

「ん?」

「あなたも、皮肉な名を与えた物です」


雨は、雲がなければ生きられない

そして、雲も…


「そうやって、縛り付けて…離れることを許さない」

「…だが、雲が大空に漂っているのは気まぐれだ…孤高の存在でなければならないんだからな」

「でも、彼は一人ではいられない」

「……いつかは、一人にならなければならない日がくる」


それが、いつかとは言わないけれど―――


…でもきっと、そう遠くない、未来


「雲を泣かせるようなことをしたら、許しませんから」

「大丈夫だ、俺は雲を泣かせたりしない…そのために俺がいるのだからな」



それでも、いつか

泣かせてしまう日が、来るのだろう事を知っている

今すぐにとは言わないけれど

これから、何十年、何百年後

それは、いつか、きっと――――





fin...?
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