†頂き物†
□いちばん。
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いちばん。
時刻、A.M8:20
朝のHR開始10分前。
いつもなら生徒達のしゃべり声で騒がしいはずの廊下。
しかし今は、全ての生徒が身動き一つせず、息を殺してその恐怖が通り過ぎるのを待っていた。
その廊下を闊歩する一人の人物。
この人こそが恐怖の正体、並盛中学風紀委員長、雲雀恭弥。
その人は、恋人がいるであろう教室へと足を運んでいた。
(綱吉…)
その人の頭の中には恋人のことしかなく、もはや廊下で群れを成す生徒達など眼中にありはしなかった。
沢田綱吉、その人は雲雀恭弥にとってとても大きな存在になっていた。
やっとたどり着いた教室。
ここに恋人がいるのだ。
そう思うだけで笑みがこぼれる。
閉ざされたドアの前に立ち、教室の中を窺ったとき、ドアを開けようと伸ばされた手が空をつかんで止まった。
目の前には、クラスメイトに囲まれ、幸せそうに微笑む恋人の姿。
机にはクラスメイトからもらったのであろうたくさんのプレゼント。
視界に映るものに怒りがこみ上げ、眉間に深い皺が刻まれる。
自分にはそんな笑顔なんて見せたこともないくせに。
赦せない。
雲雀の中にどす黒い感情が渦を巻く。
赦せない。
沢田綱吉は自分の恋人ではなかったのか。
赦せない。
赦せない。
僕以外のものに笑顔を向けるなんて。
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