Spiral Mirror
□忘國の夢
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「…紫苑、またここに居たんだね…白露さんが探していたよ」
白い薔薇に囲まれた噴水。そこに腰掛け、変わる事のない空を見上げている菖蒲色の髪の男に飛沫は声を掛けてから近付く。
その言葉に、天を向いていた男の紅玉色の瞳はゆっくりと飛沫の方を向く。
「釈迦の野郎が何の用だ?」
一瞬だけ寂しげな色を見せた瞳はすぐにいつもの強気な色に戻り、それから溜息混じりの声で紫苑は言った。
「女禍の村に居座っていた擬態魔族のコトじゃないかな。救世主一行が倒した哇唯は殆ど溶けちゃってたみたいだから」
「状況を説明しろってか。ったく…それくらいテメェでチェックしろっての」
翡翠色の瞳を向けた飛沫に言われ、紫苑は面倒くさそうに溜息を吐く。
「忙しいらしいからね…“叔父上”は」
苦笑した飛沫はそう言ってから紫苑の隣に腰掛ける。