Spiral Mirror
□鏡花風月
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分厚い本をめくりながら頬杖をついていた亜麻色の髪の男は顔を上げずに珈琲のカップを取り、それに口を付ける。すごい早さでページをめくっていく彼を、書類を整理しながら横目で見ていた少年は一旦手を止め、
「響…何読んでんの?」
そう、声を掛ける。その声に、山になっているファイルに目を通していたもう一人の男は顔を上げ、黒曜石色の瞳を二人に向けた。
「いやぁ…救世主一行の他にも蜀魂の人間の波動を感じるからさ。どっかに穴が開いてんじゃないかと思って、過去の記録見てたんだけど…」
視線を落とし、ページを繰る手を止めぬまま響はのんびりと言う。その言葉に二人は顔を見合わせてから自分の手元にある資料を開き始める。