Spiral Mirror
□Happy Birthday!!緋炎
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「何か飲みますか?」
不機嫌な顔で窓の外を睨み付けている緋炎に光輝は声を掛けた。
「珈琲」
振り向きもせずに短く答えた男に苦笑してから珈琲を淹れ始める。
彼が不機嫌な理由は十中八九、今この部屋に居ない仲間の事だろう。
部屋に居るだけで大人数のような賑やかさを提供してくれるお子様二人は数日前から街の酒場に入り浸り、モブ退治の依頼をこなしている。鮮やかな連携で高額賞金のモブを次々と倒していく二人は今や街の人気者だ。元々救世主一行として歓迎はされていたが、今はそれ以上の騒ぎで、毎夜街の人間が天音と風雅を飲みに誘いに来ていた。
天音は宿に戻ってくるなり眠ってしまい、風雅は街の人間と飲みに行く日々が続いていて、その度に緋炎の眉間のシワは少しずつ増えていっている。