Spiral Mirror
□終わりのない夜
2ページ/16ページ
転送用の紋章術が紡いだ光を見つめながら紅梅色の髪の魔神は自らの右手を光にかざす。
魔神となってから戻らなくなった獣の手。
生活に支障はないのだが、もう人間ではない事を再認識させられるのがツラい。
「どうしたんだい?」
獣化した右手を見つめて微動だにしない月白に魔神になる前からの長い付き合いの友人は問い掛けた。
「いや…」
皮手袋をはめながら月白は首を振る。
人間だった時の事を思い出したのはきっとあの【天音】という少女の所為だ。
懐かしい『蜀魂』の人間。
自分と同じ境遇の…玄狼族。