Spiral Mirror
□引き裂かれた想い
2ページ/12ページ
その少女に出逢ったのはある晴れた日の事だった。
巨大な楡の木の枝に横たわり、雲一つない空を見上げながら物思いに耽っていると不意に遙か下の方の茂みから物音がした。
ゆっくりと顔を動かし、茂みを駆け抜けて行ったものを見るとそれは四つ目犬-ガルム-の群れだった。
起き上がって魔獣たちの向かった方を見ながら首を傾げる。
山は今や人の肉を糧とする四つ目の犬の住処となっていて人間が入ってくる筈がない。
しかし次の瞬間彼らの向かった方角から悲鳴が聞こえた。
それはどこか懐かしい声で、居ても立ってもいられずに枝伝いに走り出す。