月魄の狼-The Requiem of War-

□11.追憶の日
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あの日失ったモノ…


あなたは今、何処にいる?


強がる言葉で覆って隠してる


今だあの日から孵れずにいる…


いつかの痛みを越えて、天を目指す


11.追悼の日
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『こなぁゆきぃ〜!ねぇ、ここまで白く染められたなら〜…ふた〜りのを〜!孤独を分け合うことだ出来たのかい…』


去年より早い粉雪が奥州に降った。
雪を見た神那は、朝からあの調子だ。あのsongを繰り返しrepeatして口ずさみながら、庭で駆けまわっている。
もちろん防寒対策をしている、犬ッコロの計らいだ。
さすがに袖が分離したあの着物じゃ、肩が寒そうだ…
あの灰色の毛皮の外套をはためかせて、子供のように無邪気に笑っている。
雪は全てを白に変えちまうから、あまり好きじゃねぇ。
だが、神那のその姿を見ていると、とても微笑ましい光景に見える。


「政宗様」


側に来た小十郎は、厚着の羽織りをオレに手渡す。


「小十郎…夕方までには帰る。後は任せたぜ」

「はっ、お気をつけて…」

「…あぁ」


そう言って振り向かずに手を振った。
部下の何人かに「筆頭!」と声をかけられ、城門をくぐり、ある場所へと向かった。




















―神那Side―


今日は一段と冷える。里じゃまだ早い初雪だったし。
奥州って結構積もるって聞いたから、ふかふかの雪の上にダイブするのが夢だった。
それが出来ると思うと、早く積もらないかなとワクワクして落ち着かない。
あ…でも、積もり過ぎて大変だろうなぁ……
ふと、政宗が見当たらないので、何故か城門にいる小十郎に聞いてみた。


『ねぇ、小十郎。政宗どこいったの?』

「先代の…御父上の所へ行かれた」

【……伊達輝宗公か】

「もう御亡くなりになった」

『……そう…なんだ』


聞くべきじゃなかったかなと思っていると、気にするな小十郎が言った。


「いつまでも外にいると、風邪を引くぞ」

【あとで温かい茶と火鉢を持ってきましょう】

『はーい』


もう少し遊びたかったんだけどなー、仕方ないか。


「政宗殿ぉおおおおおぉぉぉおおおーーーーーー!!!」


突然男の声がすると思ったら、城門の扉がものすごい轟音を立てて破壊された。
時雨が私の前に立ち、衝撃から守ってくれた。さすが時雨。
辺りには木くずなどが飛び散り、土煙にむせながら見えたのは、鮮やかな紅。
赤い鉢巻きに、二槍を持った赤い人がいた。あー、門が半壊してる…


「ちょっとー!真田の旦那、また門壊しちゃダメでしょー!!」


また? またって何度も壊してるの!?
ついでに、迷彩の服着た……多分忍の人が叫び声に似た声で、降りてきた。


「真田ぁああ!!!てめぇ、人ン家の城門壊すたぁ……覚悟は出来てんだろうなァ?」


極殺モードになった小十郎が、刀を抜刀した。今にも赤い人に斬りかかろうとしている。


「か、かかか片倉殿!申し訳ござらぬ!!!」


サァーと血の気が引き、青くなっていく赤い人。


「じょ、城門は、佐助が修理する故!」

「え゛ッ!俺様が直すの!?」

「そうか、猿飛頼んだぞ」

「頼んだぞ、佐助!」

「え、無視?俺様の意見無視なの!?」


迷彩の人は、渋々となにかブツブツいいながら、何人かに分身して門を直していた。やっぱり、忍だったんだ…


『なんか、あの迷彩の人不憫だね』

【そうですね……プククッ】


時雨、可哀そうだから笑うのやめてあげよ?
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