月魄の狼-The Requiem of War-
□11.追憶の日
1ページ/6ページ
あの日失ったモノ…
あなたは今、何処にいる?
強がる言葉で覆って隠してる
今だあの日から孵れずにいる…
いつかの痛みを越えて、天を目指す
11.追悼の日
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
『こなぁゆきぃ〜!ねぇ、ここまで白く染められたなら〜…ふた〜りのを〜!孤独を分け合うことだ出来たのかい…』
去年より早い粉雪が奥州に降った。
雪を見た神那は、朝からあの調子だ。あのsongを繰り返しrepeatして口ずさみながら、庭で駆けまわっている。
もちろん防寒対策をしている、犬ッコロの計らいだ。
さすがに袖が分離したあの着物じゃ、肩が寒そうだ…
あの灰色の毛皮の外套をはためかせて、子供のように無邪気に笑っている。
雪は全てを白に変えちまうから、あまり好きじゃねぇ。
だが、神那のその姿を見ていると、とても微笑ましい光景に見える。
「政宗様」
側に来た小十郎は、厚着の羽織りをオレに手渡す。
「小十郎…夕方までには帰る。後は任せたぜ」
「はっ、お気をつけて…」
「…あぁ」
そう言って振り向かずに手を振った。
部下の何人かに「筆頭!」と声をかけられ、城門をくぐり、ある場所へと向かった。
―神那Side―
今日は一段と冷える。里じゃまだ早い初雪だったし。
奥州って結構積もるって聞いたから、ふかふかの雪の上にダイブするのが夢だった。
それが出来ると思うと、早く積もらないかなとワクワクして落ち着かない。
あ…でも、積もり過ぎて大変だろうなぁ……
ふと、政宗が見当たらないので、何故か城門にいる小十郎に聞いてみた。
『ねぇ、小十郎。政宗どこいったの?』
「先代の…御父上の所へ行かれた」
【……伊達輝宗公か】
「もう御亡くなりになった」
『……そう…なんだ』
聞くべきじゃなかったかなと思っていると、気にするな小十郎が言った。
「いつまでも外にいると、風邪を引くぞ」
【あとで温かい茶と火鉢を持ってきましょう】
『はーい』
もう少し遊びたかったんだけどなー、仕方ないか。
「政宗殿ぉおおおおおぉぉぉおおおーーーーーー!!!」突然男の声がすると思ったら、城門の扉がものすごい轟音を立てて破壊された。
時雨が私の前に立ち、衝撃から守ってくれた。さすが時雨。
辺りには木くずなどが飛び散り、土煙にむせながら見えたのは、鮮やかな紅。
赤い鉢巻きに、二槍を持った赤い人がいた。あー、門が半壊してる…
「ちょっとー!真田の旦那、また門壊しちゃダメでしょー!!」
また? またって何度も壊してるの!?
ついでに、迷彩の服着た……多分忍の人が叫び声に似た声で、降りてきた。
「真田ぁああ!!!てめぇ、人ン家の城門壊すたぁ……覚悟は出来てんだろうなァ?」
極殺モードになった小十郎が、刀を抜刀した。今にも赤い人に斬りかかろうとしている。
「か、かかか片倉殿!申し訳ござらぬ!!!」
サァーと血の気が引き、青くなっていく赤い人。
「じょ、城門は、佐助が修理する故!」
「え゛ッ!俺様が直すの!?」
「そうか、猿飛頼んだぞ」
「頼んだぞ、佐助!」
「え、無視?俺様の意見無視なの!?」
迷彩の人は、渋々となにかブツブツいいながら、何人かに分身して門を直していた。やっぱり、忍だったんだ…
『なんか、あの迷彩の人不憫だね』
【そうですね……プククッ】
時雨、可哀そうだから笑うのやめてあげよ?