月魄の狼-The Requiem of War-

□3.天満月の唄
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飼い犬になりたくはない


籠の中の鳥のようには生きたくない


気づかない内に時の針は刻む


ジッとなんてしてられらんない


「その鎖を引き千切ってしまえ」


3.天満月の歌

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拝啓 お父さんお母さん、ついでにお兄ちゃん。三峯の里のみんな。

お元気ですか? 私は今、奥州にいます。里と比べて涼しいです。

奥州に入った雨の日、一人の人間を助けました。

お母さんの塗り薬が役に立ちました。

その助けた人は "伊達政宗" と言う方なんですが、今そのお城に泊めて貰っています。

お城は屋敷と同じくらい立派な建物です。

お礼がしたいのだと、正直とても嬉しかったです。

奥州のご飯はとっても美味しくて飽きません。特に野菜が美味しいです。

正体はバレてしまいましたが、政宗はとてもいい方なようで……特に怖がる様子もありませんでした。

もちろんごく一部の方々にしか、私達の正体は知らないので安心してください。

時雨ですが、どうも伊達 政宗様とは気が合わないようで……、アイツは嫌いだとぼやいています。彼もそうみたいですが…

私としては、彼が嫌いではないです。

行く所がないなら居てもいいとか、面白いことを言ってくれました。

可笑しな人間ですよね?

世の中、怖い人間ばかりじゃないんですね…皆そうだったらいいのに…と、時々思います。

こっちのことは心配無用です。頼りになる時雨もいるし、いつも稽古していますから。

それでは皆さん、お体に気をつけてください。

また書きます。



神那より
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