孤高な呪術師

□1.忘却の怪
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周囲は薄暗い。逢魔が時のようだった。







屈強な鎧を着こんだ男が刀を掲げている。






殺されるのか。






後悔はない。恐れもない。ただの空虚。









《新たな世、異なる道にて生きるが良い。さらば、烈火の如き始まりの誇りよ!》








男は刀を振り下ろされ、被っていた兜が粉々に粉砕し、頭部に衝撃が走る。





まるでゆっくり時が流れるように、私の身体が地に伏した。





何か見えた気がした。





誰かと穏やかな日々を過ごす日常を……





だがそれは、業火の如く燃え尽き、灰になっていく……







何も残らない。私には何もない───






痛みを感じる間もなく私の意識は闇の中へと堕ちていった……──

















これで、ようやく────

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