月魄の狼-The Requiem of War-
□2.狼少女と黒狼
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「Hey!着いたぜ?」
城に着いたと言うことで馬から降りると、少しフラッと体がよろけて転びそうになった。
【姫、大丈夫ですか?】
『だ、大丈夫。ちょっとビックリしただけ…』
だって手綱持ってないし、すごい速い! でもちょっと楽しかったと思う自分がいる。
「おい、大丈夫か?」
『あっはい! でも、馬なんて初めて乗ったんだもので……』
「Want?…そうなのか」
『はい。馬なんて"食べる"くらいですもん……結構おいしいし好きですね〜(ジュルリ』
おっと、ヨダレが……。はしたないことをしちゃった。でも結構馬肉は好きなんだよね。最近食べてないな〜。
―きゅるるるるぅ〜
「「?」」
お腹の虫が盛大に鳴った。
【姫…】
『ごめんなさいっ!ごめんなさいっ! ホンッットごめんなさい!』
呆れた時雨の声を聞いて、急に恥ずかしくなりひたすらペコペコと謝った。
案の定、彼にめちゃくちゃ笑われました。しかも小十郎さんまで!
死にそう……恥ずかしくて死にそうだよ……死ぬほど笑ったと言われ、城内へと入って行く。
城は天守閣というモノはなく、どちらかと言えば、大きな和風の屋敷。有名な大阪城とは異なる城だった。
なんだか家に似てるなぁ、と思いながら城内に入る。室内に入ると言うことで時雨は人間の姿に変化した。
もちろん、正体を知る彼と小十郎さんを含めた三人にの前で。
人間の姿になった時雨は、ところどころはねた短い漆黒の髪。ギラリと光る金色の瞳。右目尻には妖狼の証である牙の刺青が記されている。
動きやすい忍装束に似た着物を纏い、かなりの上級レベルの優男に見える。
「ンだよ、人になれたのか」
「俺を誰だと思っている? 高貴なる<狼哭>の一人だぞ。残念だったな眼帯……姫の守護が俺の使命なんでな」
なぜか残念そうに言った彼に、時雨は馬鹿にしたように笑った。
よくは分からないけど、なぜか沈黙の睨み合いが始まった。
平然と相手を見下すような顔をする時雨に対し、拳をつくり怒りを露わにするにする彼。バチバチと激しく火花が散っている。
『時雨、喧嘩しちゃダメ』
「大人げないですぞ、政宗様」
なんか、今にも喧嘩しそうな雰囲気。さすがにヤバいと本能──というか野生の感が言うので、仲裁に入った。
小十郎さんも多分、そう思ったかのかもしれない。
「チッ……、後で覚えてろよ。犬ッコロ」
「ハッ、こっちの台詞だ。眼帯小僧」
「オレはガキじゃねぇ!!」
吼える彼に、へいへいと時雨は軽く返した。完全に馬鹿にされてる…