長編・金木犀
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翌日。
朝、いつも通りの時間に起きて、鏡の前におはようの練習。お母さんに変な顔で見られたけど、気にしない。
そんなことをしていたら、いつも家を出ている時間をすぎていた。
急いで家を飛び出して、駆け足で登校。
教室まで一直線に走る。ガラリと教室の扉を開けて、真っ直ぐ自分の席に座る。
その時の私は頭が真っ白で、巻島君に挨拶をする、ということがすっぽり頭から抜け落ちていたのです。
登校した私の元へ、幼馴染がやってきた。
「寝坊?珍しいね」
「い、いや、それが」
言いかけて、私ははっとした。
「ああ、挨拶してない・・・!」
頭を抱える私に、幼馴染はカラカラと笑った。
「気づいてなかったんかい」
「うう、せっかく練習したのに・・・」
練習?と聞き返す幼馴染に、私は朝のことを話した。
すると、幼馴染はお腹を抱えて笑い出した。
「あっははは!!挨拶の練習って・・・っ、何、それ・・・くく、おっかし・・・!」
「そ、そんなに笑わなくてもいいじゃない!!」
私がそう言うと、幼馴染は肩を震わせたまま、ごめんごめん、と平謝りをしてきた。
むぅ、と私が少しむくれていると、チャイムが鳴った。
同時に幼馴染は自分の席へと戻って行った。
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