長編・金木犀

□5
2ページ/2ページ

翌日。

朝、いつも通りの時間に起きて、鏡の前におはようの練習。お母さんに変な顔で見られたけど、気にしない。

そんなことをしていたら、いつも家を出ている時間をすぎていた。

急いで家を飛び出して、駆け足で登校。

教室まで一直線に走る。ガラリと教室の扉を開けて、真っ直ぐ自分の席に座る。

その時の私は頭が真っ白で、巻島君に挨拶をする、ということがすっぽり頭から抜け落ちていたのです。

登校した私の元へ、幼馴染がやってきた。


「寝坊?珍しいね」

「い、いや、それが」


言いかけて、私ははっとした。


「ああ、挨拶してない・・・!」


頭を抱える私に、幼馴染はカラカラと笑った。


「気づいてなかったんかい」

「うう、せっかく練習したのに・・・」


練習?と聞き返す幼馴染に、私は朝のことを話した。

すると、幼馴染はお腹を抱えて笑い出した。


「あっははは!!挨拶の練習って・・・っ、何、それ・・・くく、おっかし・・・!」

「そ、そんなに笑わなくてもいいじゃない!!」


私がそう言うと、幼馴染は肩を震わせたまま、ごめんごめん、と平謝りをしてきた。

むぅ、と私が少しむくれていると、チャイムが鳴った。

同時に幼馴染は自分の席へと戻って行った。



 NEXT
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ