短編・荒北
□C
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そして、そいつと俺はまた出会った。高校で。
そいつと俺は同じ学校だった。俺は学校でそいつの姿を見つけたとき、なんだか変な気持ちになった。
そんときはその気持ちがなんなのかわからず、ただ妙な気持ちを持て余していた。
1、 2年と、俺とそいつは違うクラスだった。
けど、俺はそいつを見かけると、自然と目がそいつ追っていることに、そのうち気づいた。
そして、俺はこの感情の名前がわかったんだ。
ああ、“好き”なんだと。
恋だとかンなモンくだらねェと思ってた。
それに、俺らしくもねェ。
俺には自転車がある。
そう自分に言い聞かせ、なるべく意識しないようにした。
けど、3年になり同じクラスになった。
しかも、隣の席。
何気なく隣を見ると、ドジなのは相変わらずなのか、ペンを落としたり、消しゴムをおとしたり、ノートを落としたときもあった。
窓側の席だから、窓を開けていたときにプリントが風に飛ばされていたときもあった。
そんな姿を見るたび、俺は笑っていた。誰にも気づかれないように。
そんなドジばっかしてるこいつの、俺はどこを好きなんだと。
そんなことを考えていると、そいつの笑顔が浮かぶ。
シャーペンを拾ってやり、俺に向けられた笑顔。
友達を話しているときに見せる笑顔。
それは変わらずで、それを見るたびに、俺はやはり妙な気持ちになるんだ。
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