短編・その他

□ライラック
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暑い。

じりじりと照りつけてくる太陽を睨みつけ、もう夏だなぁ、なんて呟く。

旅行が趣味の母は、しょっちゅうママ友とどこかへ出かける。

引っ越しに旅行に、忙しない母である。

そんな母がこの間、沖縄まで行った、らしい。帰ってきてから聞かされたもので、驚いた。

その沖縄土産を親戚に届けてくるように任務を受け、私はこの江の島まで来ていた。

こうなったらもう水族館行っとくしかないかな。一人で行っても寂しいだけだけど。

こんな暑い中、リア充を見ていたくはない。


「あっつー・・・」


暑いし、重いし、疲れた。

どこかで飲み物を買おうと自販機を探すと、すぐ近くにあった。

土産の入ったかばんを足元に置き、自販機にお金を入れる。

こんな日はー、炭酸かなぁ・・・。

炭酸を選ぼうと指を伸ばし、直前でピタリと指を止めた。

・・・。

そのまま、私は上の段にあったスポーツドリンクのボタンを押した。

ガコン、と飲み物が落ちてくる。

その光景が、数年前、しんごくんを好きになった日を思い出させた。



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