短編・その他
□2/14 ブバルディア
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放課後、東堂に先に部活に行くように言い、私は告白できずに落ち込んでいる友達を見つめた。
「だ、だって・・・」
涙目で言い訳をしようとする友達に、私は彼女の頭を軽く叩き、言った。
「まだ寮に帰っちゃったわけじゃないし、部活終わった後もまだチャンスはあるでしょ」
頑張んな、そう言って、私は教室を出た。
向かう先は、自転車部の部室。
「おお、来たか名無しさんよ!!」
そう言う東堂に笑いかけ、主将の福富君に軽く頭を下げる。
「ゆっくりしていけ」
そう言う福富君にありがとうと言い、私は自転車の整備をしている荒北に近づいた。
「荒北」
荒北と私は実は結構仲が良く、コイツの恋愛相談なんかもたまに聞く。
初めてされたときは心底意外で驚いたけど。
「教室に行け」
「ハァ?」
何言ってんだ、と言った顔をする荒北に、私は言った。
「いいから、教室行ってこい」
意味わかんねぇと呟きながらも、荒北は福富君に声をかけ、私の言葉に従ってくれた。
あとは、頑張れ、2人とも。
「荒北と何を話していたんだ?」
そう尋ねてくる東堂に、
「もどかしい2人のキューピッドになってみた」
そう言うと、東堂は意味がわからないといった様子で首をかしげた。
「東堂、部活終わるまで待ってるから、一緒に帰ろうね」
その言葉に、東堂は笑って頷き返した。
「ああ」
END