短編・荒北
□姫のキスで野獣は目覚める?
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部活で忙しい靖友君と、久しぶりに一緒にいられる時間ができて、今日は久しぶりのお家デート。
といっても、靖友君は寮生なので、私の家で。
でも、靖友君、私の部屋に入るなり、余程疲れていたのか、すぐに寝てしまった。
少し残念に思うけど、ゆっくり休んでほしいとも思う。それに、靖友君の寝顔が見られてラッキーなんて気持ちもあったりする。
ぐっすりと寝る靖友君の横に座り、私は本を読む。
いつの間にか、本を読むのに集中してしまったようで、日が大分傾いてきた。
靖友君は寮の門限があるから、もうすぐ帰らなくてはいけない。けど、まだ寝ている。
起きる気配がない。
どうしようかなぁ、と悩んでいると、靖友君が寝言で私の名前を呼んだ。
「・・・名無しさん・・・」
ドキッ、と心臓が高鳴る。
「・・・ヘッタくそだなァ」
・・・何が下手だというのだろうか・・・。
私は少し唇を尖らせる。しかし靖友君は起きない。
また何か寝言を言わないかなぁ、とじっと靖友君を見ていたら、なんだかこう、ムラムラと・・・。
いやいやいや、私は痴女か!!変態ではない!断じて。
でも、こう、私から、したことってないんだよなぁ。
いつも、靖友君からしてくれて・・・。
新開君によると、女子からしてもらえるとうれしいらしいし・・・。
寝ている靖友君なら、寝てるんだし、バレない、よね?練習、練習だと思ってすれば・・・!
私は、そっと靖友君に顔を近づけた。