長編・金木犀
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それからの授業も集中できず、私はボーっと黒板を眺めていた。
お昼になり、幼馴染が私のところへやってきた。
一緒にお昼を食べている間も、私は巻島君の様子が気になっていた。
巻島君は今、教室にいないけど、巻島君の席のほうをチラチラと見る。
そんな私の見かねてか、幼馴染が私に言った。
「巻島なら、いつも中庭で食べてるよ」
行ってモヤモヤ解決してきなさい。その言葉に背中を押され、私は教室を飛び出した。
中庭に出ると、すぐに目につくタマ虫色の髪。
「巻島君」
少し息を切らして言う私に、巻島君は少し目を見開いて聞いてきた。
「なん、ショ?」
「なんか、さっき、様子がおかしかったように思えたから」
あまり話した事ない相手に、こんなこと言われるのは迷惑かな、と思い、私は少し不安になった。
「あー、別に、なんでもないっショ」
「そう?なら、いいんだけど・・・。あ、お昼の邪魔しちゃったね、それじゃあ、私はこれで」
そう言って、また教室へ走っていく。
やっぱり、私なんかに教えてくれないよね・・・。
少し痛む胸を抑えて、私は幼馴染の元へと戻って行った。
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