長編・金木犀
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「で、どうなのよ」
「どうって、何が?」
帰り道、幼馴染がそう問いかけてくるので、私は首をかしげた。
「巻島のこと。気になってんでしょ」
そう言われ、顔に熱が集まってくる。
「えええっ!?な、何のこと!?」
「とぼけんなって」
ニヤニヤとした顔で私を見て、肘で突いてくる幼馴染に、私は赤面した。
「うう、気になってるというか・・・、・・・気になってます、はい」
うつむく私を見て、幼馴染はカラカラと笑った。
「告白するの?」
「ええ?ムリだよ」
苦笑して幼馴染の言葉を否定すると、幼馴染は真剣な顔をして言った。
「やってみなきゃわかんないじゃん。それに、今席近いし、チャンスじゃん。タイミング逃しちゃダメだよ」
「そ、それは、そうかも、だけど・・・」
「ま、いきなり告白はムリだよねぇ、名無しさん、奥手だし」
またニヤニヤと笑い出した幼馴染に、私は唇を尖らせた。
「挨拶から始めたら?おはよう、って言うのくらい、できるでしょ?」
「う、うん、それなら」
ガンバレ、そう言って私の背を叩く幼馴染に、私は自然と笑みがこぼれた。
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