短編・巻島

□なんだかんだ言って君は
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「雪だー!!!雪だ雪だ雪だぁぁぁ!!」


雪が降りました!積もりました!となったらもう外へ出るっきゃないでしょ!!

真っ白な地面を見てはしゃぐ私とは反対に、裕介のテンションは下がりっぱなし。


「寒い、っショ」

「寒いねー!!」

「・・・帰る、っショ?」

「なんで!?」


バッ、と振り返ると、マフラーを口元まで上げ、両手をポケットに突っ込んで立つ裕介の姿が。

若干、震えているように見えなくもない。


「裕介、寒いの?」


私が尋ねると、裕介は無言でコクリとうなずいた。


「じゃあ、動こう!動けばあったかくなる!!」


そう言い張った私に、裕介はガクリと肩を落とした。

だって、せっかくの雪だもん。遊ばなきゃもったいない!


「かまくらつくろう!かまくら!」

「この雪の量じゃ無理っショ」

「じゃあ雪だるまー!」

「ちっちゃいのしか作れないっショ」

「・・・」


私は無言で雪の玉を作り裕介に投げつけた。


「なにするっショ!?」

「裕介冷たい!この雪より冷たいよ!!?せっかくの雪なんだからぁ、遊ぼうよー!!」


そんな私の様子に、裕介は呆れて溜息を吐いた。


「あう・・・。そんな呆れなくったっていいじゃん・・・」


うつむく私の頭に、ポスッ、と冷たいものが当たった。


「冷たい・・・」

「雪合戦、するっショ?」


雪の玉を手に持ち、裕介は私にそう言った。


「うん!!」


なんだかんだ言って、裕介は私に甘い。それがわかっていてお願いする私は、大分ワガママなのかもしれない。

後日、はしゃぎ過ぎて熱を出した私を、裕介は軽くお小言を混ぜながらも看病してくれた。




 

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