短編・その他

□クリスマスローズ
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私の彼氏は、自転車部の主将、福富寿一君。

去年、私から告白して、付き合うことになった。

好きになったきっかけなんてありきたりなもので、先生に、ノートを集めて放課後職員室に持ってくるよう頼まれたときに、偶然通りかかった福富君がノートを運ぶのを手伝ってくれたのだ。

その日から、私の目は自然と福富君を追うようになった。

そうやって見ているうちに、私の中での福富君のイメージが変わっていった。

これまで、あまり笑ったところを見たことがなく、少し怖いような、取っつきにくいようなイメージしかなかった彼が、本当はとても優しい人なんだとわかったのだ。

そして、私はだんだん彼に惹かれて行った。
振られるだろうと思っていたのに、告白したら付き合ってくれることになった。

でも、私は福富君から言葉を聞いていない。

“好き”だって。

告白をオーケーしてもらえたときは、すごくうれしくて舞い上がっていたからあまり気にしなかったけど、今はとても不安に思う。

本当に、福富君は私のことが好きなのだろうか、と。

頬杖をついて窓の外を眺めながら溜息を吐いた私を、前の席の東堂君が何事かと思ったのか振り返った。


「溜息を吐くと幸せが逃げるぞ」

「んー」


そう言われても、溜息しか出ない。

そんな私を見かねたのか、体ごと振り返り、東堂君が私の顔を覗き込んできた。


「何かあったのかね」


東堂君に相談するべきか少し悩んだけれど、このまま1人で考えていても仕方ないと思い、思い切って福富君のことを話してみた。




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