復活小説

□その1
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好きで好きで好きで好きだ。(初ツナ/学パラ)






ふわぁぁ。
綱吉は大きく欠伸をした。
最近はバイトのシフトが忙しいため、寝不足気味な綱吉である。
もはや学校へ向かっている通学路で大きく欠伸するのが、綱吉の日常になっていた。

リボーンは少し先を歩くそんな綱吉を見て溜息をついた。
綱吉が毎日忙しくしているのを従兄弟である自分は知っている。
が、毎日こんな状態でいいのだろうか。
そしてバイトのことだけでなく、綱吉の壊滅的な成績状況も知っているのだ。

(……このままいったら最悪アイツ、留年するんじゃねーか?)

リボーンは再び溜息をついた。
そうして思うのだ、留年したらどうするんだと。
まあ、俺には関係ないか。
リボーンはなるようになるかと気にしないことにしたのである。

ほわあぁぁ。
綱吉はまた大きく欠伸した。
見ていて飽きないなと綱吉を見ていたリボーンだが、いかんせん後ろを歩く自分に気づかないのは腹が立つ。
リボーンは目の前を歩く綱吉の背中に向けて自らの鞄を振りかぶった。

「うぉっ!? リボーン、何するんだよ!?」
「目の前にバカがいたからな」
「ちょ、酷いなおいっ!」

背後からの突然の衝撃に、綱吉は声を上げた。
成績はいいが優等生とは言い難いリボーンの鞄は、中身が財布や少量のプリントなどで構成されているため、音のわりに綱吉に衝撃はなかったのだが。

そして抗議の声をあげた綱吉であったが、リボーンの俺様発言に別の意味で声を荒げた。
誰かコイツのオレサマなんとかしてくれ!

「ねぇ、校門前で騒がないでくれるかな」

二人が騒ぎながら校門へと向かっていると、校門から聞き慣れた声が届く。
綱吉はそれなりに心を許している先輩の登場に、そしてリボーンはいけ好かない野郎の登場にそれぞれ喜色の違う表情をした。
リボーンに至っては表情こそ変わらないが、まるで親のカタキでも見るかのような視線で雲雀を射抜いている。

「リボーン、雲雀さん睨むなよ」
「うるせー、嫌いなんだよ」
「わぉ。生意気な後輩だね……噛み殺すよ」

綱吉がリボーンを咎めると、リボーンは顔をしかめ小さく呟く。
それは地獄耳を所持している雲雀に届いてしまったようで、彼は目を眇め、無言のまま袖の中から取りだしたトンファーを構えた。
それに驚いたのはなにも綱吉だけではない。
ハラハラとしながらも野次馬根性を捨てきれずに見守っていた一般生徒も顔を青くし、慌てて校舎へと散っていく。

綱吉はリボーンの隣にいたので、とりあえずリボーンを押さえつけた。
力ではリボーンに叶わないことはわかっているが、被害は最小限であることが望ましい。
綱吉は自分が少し被害いに遭うくらいで済むのなら、他人が巻き込まれるよりいいと思っている。
ただ、やっぱり痛い思いはしたくないが。

「リボーン、落ち着けって!! 雲雀さんも、そんな物騒なものしまって!!」
「うん、綱吉、危ないからどいてて」
「そうだぞ、巻き込まれたって俺に文句言うんじゃねーぞ」

リボーンを押さえつけたまま綱吉が二人に言うと、返ってきたのは到底会話の成り立たないものだった。

(うんじゃねーだろー!! つかリボーンも挑発乗らないでよ!!)






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