復活小説

□その1
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モノクロイック・ハイウェイ(リボツナ/学パラ)






※小説はすべてフィクションのフィクションです。
※実際に高速のバイクの2ケツは二十歳以上から、「大型自動二輪車免許又は普通自動二輪車免許を受けていた期間が通算3年以上」(警視庁HPよる)だそうです。
※オチまで書きかけてから気づいたので、このまま突っ走ります。
※書き直すには手遅れだったw





ふわぁぁぁ。
綱吉は大きくあくびをしながら通学路を歩いていた。
眠い、眠すぎる。
何とか気力で歩いているが、歩きながらも眠りそうなほどに眠い。

昔は近所に住んでいる幼なじみのリボーンが朝は起こしに寄ってくれ、そしていつも毎朝一緒に登校していた。
といっても小学生の頃の話しであり、中学に入ってからは段々と少なくなり、そして今現在は皆無である。
寂しいなとは思うが、実際今そんな行動をとられたら恥ずかしすぎて死ねるだろう。
――付き合ってるわけでもないし。

綱吉はそう思い至り、慌ててかぶりを振った。
何を考えているんだ、自分は。
リボーンと付き合うなんてあり得ない、と。
その感情は自分がリボーンと恋仲になるということがあり得ないという主観的なものではなく、リボーンがそう言った意味で自分を好きになることはないだろうという諦めの感情だった。

そう、何を隠そう綱吉はリボーンを恋愛的な感情で好いている。
男同士であり社会的な問題もあるが、何より綱吉はゲイではない。
初恋は女の子であるし、リボーン以外に恋仲になりたいと思う男の存在はなかった。
故に綱吉の戸惑いは半端なものではなく、だいぶ長い間悩んだのだ。
しかし、今現在はそんな悩みは吹っ切れていて、好きなら好きでしょうがない。
気持ちの整理がつくまでは片思いで構わないから、傍にいたいと思うようになっていた。

今日も遅刻ギリギリだなと頭では理解しながらも、足を早く動かすことはできずにちんたらと学校へ向かっている綱吉。
校門まで着くとやはりギリギリであり、毎朝簡単な風紀チェックをしている雲雀恭弥が腕を組んで仁王立ちしていた。

「沢田綱吉」
「うぇ〜、むりですぅ〜」
「まだ何も言ってないんだけど」

毎朝のやりとりなのだ。
雲雀の言いたいことを理解している綱吉は、強力な睡眠欲で磁石の如く吸い寄せられる瞼をどうにかしようと擦った。
そんな綱吉を見て雲雀は軽く溜息をつく。

片親というわけではないし、綱吉の家庭に親子的な問題も金銭的な問題もあるわけでもない。
綱吉が一人暮らししているというわけでもない。
しかし、父親が単身赴任しており、母親を助けるというつもりはないが、せめて小遣い的な迷惑をかけるわけにはいかないと結構な頻度でバイトしているのを雲雀は知っていた。
そして学生の本分は学業。
仕事を終え、帰った後に宿題だ予習だ復習だとやっていると、ほとんど睡眠などとれるはずもなく、翌朝眠いのも当たり前である。

「ほら、早く入りな」
「はーい」
「バイト少し減らしたら? ちゃんと休めてる? 労基法破ってない? パワハラだったら僕がなんとかするよ?」
「大丈夫ですよ。あのバカ親父は生活費と学費しか仕送りしてこないから、俺が少し頑張ればいいんだもん」
「でもそれで君が倒れたら意味ないからね」
「はは、もっともです」

先輩である雲雀の気遣いが綱吉の心に響く。
本当にありがたい。
綱吉は感謝の気持ちを笑顔で表した。

バイト先は人手が足りているとは決して言えず、コンビニ業とはいえ火の車である。
そして自分が任されている仕事が終わらず軽く残業することも屡々。
しかし週2〜3での休みは必ずもらえているし、テスト期間や文化祭などの大きな行事があるときは皆仕事を代わってくれるのだ。

そしてもう一つ、綱吉は特別風紀員会という委員会に所属しており、風紀および生徒会の業務で人手が足りなくなるとかり出される。
その際はあらかじめオーナーに言っておけば入り時間を調整してくれることになっている。
こういった融通が利く職場は珍しく、例え忙しくともこの職場が離れがたい理由はそこにあった。

「まあ、早く教室行きな。もうちょっとでチャイム鳴るから」
「はーい、雲雀さんも後少し頑張ってくださいね!」

校門をくぐったところで会話していた二人だったが、あと5分もすると予鈴が鳴る時間になるので雲雀は綱吉を校舎に急がせた。
まだ一応は予鈴までに間に合う時間であるというのに、自分と駄弁っていたから綱吉が遅刻したとなったら、さすがに申し訳が立たない。
そして風紀委員長としてのプライドもそれを許さないだろう。

予鈴が鳴ったと同時に校門を閉める作業が残っている雲雀を残し、綱吉は校舎へと急いだ。
雲雀に労いの言葉をかけることを忘れずに。
そして綱吉の姿が完全に校舎の中に消えたことを確認すると、雲雀は自分の顔を右手で覆った。
本当にあの子には敵わない。






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