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□ACT02
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遙side
「そろそろ行かないと遅刻するぞ。」
俺は未だに学校に行く準備が出来ていない桜に声を掛ける。
『待って待って・・・っ。』
そう言って慌ただしく家の中を駆け回る。
・・・・・全く、今まで何をやっていたんだ。
「何を探してるんだ。」
俺は桜の状況から見て何かを探しているのだろうと思いそう聞いたら、案の定何時も使っているシャーペンがないと言って困ってた。
『どーしよっ!あれじゃないと書くときに指痛くなるのに・・・っ。』
「・・・・昨日俺の部屋で宿題やってそのままとかじゃないのか。」
「・・・・・・・・・あっ!」
心当たりがあるのだろう、急いで階段を駆け上がっていった桜を見て小さく笑みが漏れる。
・・・・あれだけ階段は転け易いから走るなと言ったのに・・・。
『お待たせっ!』
少し息を切らせた桜が玄関から出てきた。
「シャーペン、見つかって良かったね。」
『うんっ!今回もね、遙がシャーペンの在処を暴いたんだよ?凄いよねー。』
「またハルが?桜の行動は全部お見通しなんだね。」
桜と真琴が楽しそうに話していることに少しムッとしたけど、俺の話題だったから我慢した。
『ねぇ遙、今日入学式の時に付けるお花。遙がつけて欲しいんだけど・・・。』
桜は基本家以外では俺のことを『遙』と呼ぶ。
この方が親し気だからいいーとかこの間言ってた様な気もする。
「・・・何で。」
『だって・・・折角遙の事追いかけて岩鳶高校入ったんだよ?
・・・・何か記念欲しいんだもん・・・。』
「ハル、それくらいいいんじゃない?桜、受験勉強凄く頑張ってたし。」
「・・・・分かった。」
何で花?それくらい誰でも良いと思うのに、桜のお願いだからと聞いてしまう俺は結構末期かもしれない。
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