テニスの王子様
□気持ちを伝えるタメ
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『リョーマ先輩っ、リョーマ先輩!』
「...何。」
今日も私は入学して直ぐに一目惚れをしたリョーマ先輩の元へと駆け寄る。
一目惚れといっても容姿だけに惚れたのではない。
リョーマ先輩のテニスに対する真剣な姿勢に惹かれたのだ。
『今日私体育の先生に褒められました!』
「何したの。」
『私の得意なバスケでスリーポイントで15点取りましたっ!』
「へぇ...凄いじゃん。」
私が今日あった事を報告すると、リョーマ先輩は微かだけど口角を上げて私の頭を撫でてくれた。
なんだかんだ言って私はリョーマ先輩に気に入られてるんだと思う。
だって他の女の人にこんな事してるリョーマ先輩を見たことがないから。
『えへへー。』
「何ニヤついてんの、気持ち悪いんだけど。」
『あ、リョーマ先輩酷いです!』
「ホントの事言っただけだけどね。」
リョーマ先輩はヒドイ事も言ってくるけど、ちゃんと褒めてくれたり、話聞いてくれたり、ちょっとした揉め事とかで庇ってくれたり...絶対に優しい人だと思ってる。
周りの人よりもちょっとだけ感情表現が少ないだけなんだ。
『リョーマ先輩!今度バスケでワンオンワンやりましょう!』
「...ねえ知ってる?俺テニス部なんだけど。」
『いいじゃないですか!リョーマ先輩スポーツ何でも得意なんですから。』
「はいはい。また時間があったらね。」
『約束ですからね?絶対ですよ?』
「分かった分かった。」
先輩はホントに分かっているのかいないのか分からない返事を私に返して、ほら、もうチャイムなるよと言って私が次の授業に遅れないように注意をしてくれた。
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リョーマ先輩の教室を出た私は、先輩の注意を無駄にしないように真っ直ぐ自分が在籍する1年2組の教室へと戻った。
先輩もそういえば1年生の時2組だったと言っていたから尚更運命を感じてしまう。
「あ、桜ー!また先輩の所いってたの?」
『うん!今日もかっこよかった...っ!』
「誰も聞いてないから。
...じゃなくて、今日数学で確か桜当たるよ?
ちゃんと宿題やってある?」
『えっ?!最悪だ...。』
教室に入ってすぐさま次の授業の数学で当てられる事を知って、顔に絶望の色を浮かべた。
『一問分からない問題があったからその問題で当てられたらもう終わりかも...。』
「じゃあこの私が特別に教えてあげるからしっかりと頭に叩き込みなさい!」
そう言って休み時間の残りの2分で私にわからなかった問題を人に教えられるまでに成長させてくれた私の友達は本当にすごいと思う。
チャイムが終わると同時に始まった数学の授業で私は見事に10分前まで分からなかった問題の解説役に指名された。
やっぱり持つべきものは頼もしい友達っ!!