book 3

□弐
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肌についた汚れを落としてやり、擦りむいた所を消毒して絆創膏などを貼る。
指からは血が溢れんばかりに出ていて、両手に包帯を巻いた。
途中、緑間の様だ。と三人で吹き出した。
「よかった、落ち着いて。」
「何で黄瀬の奴がここに居るんだよ。」
「わからへん。まさか来とったなんて気付かんかったわ。」
規則正しい寝息に3人は安堵する。
「ぅ・・・、」
「あ、」
少しずつ、少しずつ、長いまつげが上がる。
「あ、れ?」
「涼ちゃん!」
黄瀬は目を見開き、覗き込んだ牡丹を突き飛ばした。
「う、わああああああああああああっ!!!!!来るな来るな来るな!!!」
布団から出て後ろへ後ずさる。
「牡丹ちゃん!!」
「黄瀬ぇ!!てめぇっ!!!」
青峰の怒鳴り声で黄瀬は目を見張る。
「あ、ぉみ、ねっち・・・?」
消え入るような声で呟き、三人を見つめると涙腺が決壊した。
「うわあああああっっ青峰っちぃぃぃ、うわああああああっ!!!」
「ぐほっ、」
黄瀬に勢い良く抱き着かれ、後ろに倒れる。
子供のように泣く黄瀬をはがす事などできず、青峰はされるがままだ。
牡丹が黄瀬に近づき頭を撫でる。
「涼ちゃん。久しぶり。」
「!!!!!」
今度は牡丹に抱き着いた。
「牡丹っちいいいいっ!!!」
「ぐぇっ、」
「桃っちぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「き、きーちゃん、落ち着いて・・・。」
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