夢
□純白マリオネット
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「話が、違うよね?」
引きつった笑顔の少女が燃える街を眺め呟く
「お前を愛するのは、俺だけでいいんだ」
「だって、私があなたのものになったら、家族は助けるって、言ったよね?」
「奴らはお前を俺から奪おうとした。
それだけだ」
それだけ?
それだけのために
私の家族は?
「しかし、お前は弱すぎる」
「!」
いつの間にか男が遠くにいる
激痛を覚えた時には遅かった
何かに飛ばされたと気づいたのも、遅かった
「お前が強ければ、俺から家族を守れたんじゃないのか?」
「っこの…」
「悔しかったら、俺のこの糸を切ってみるんだな。
俺からお前に繋がっている、操り糸を」
「触るな…」
顎を向けられた屈辱的な格好でも、彼女は怒りに燃えた目を男から逸らさない
「お前を本当に愛している」
「それ以上喋るな…」
声は恐怖と怒りで震える
「…宣言しよう。お前は必ず俺の元へ戻ってくる。
何故ならお前は、俺の愛しく美しい操り人形なのだから」
彼女の血の味が滲む口づけを深く、彼女が拒んでも続けた
男が姿を消した時、彼女の脳内には甘い愛の言葉など再生されなかった
「弱い」
ただひたすら男のその言葉だけがこだまする