独奏の堕天使
□*???編*ある召喚士のお話
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『久しぶり。』
「久しぶりね、バハムート。」
彼は疑問に思う、何故私がこの場に居るのか。
彼の言葉を待たずに私は言った。
「召喚士にしてくれない?」
『なんで……キミまで…』
「『シン』倒して死ぬ気は無い、勿論敵討ちをしようだなんて思ってない。
ただ、やりたい事…いいえ、やらなきゃいけない事が出来たの。
達成するには召喚士としての経験が必要だと思う、だから…お願い。」
彼は真っ直ぐな目で私を見る。
『本気…?』
「考えでも読んだ?」
『ごめん…でも、そんな事…!』
「出来るわけない?やらせるわけには行かない?どっちにしろ私はユウナレスカの所まで絶対行く。ね、お願い。」
彼は考えるそぶりを見せた後、溜め息をついた。
『分かった。僕の力をキミに貸すよーー』
「おっと、名前で呼ばないで。今から私は…召喚士レイル。」
『…レイル。じゃあ僕に名前を付けて、僕を喚んで。』
彼は言った。
でも、私にはバハムートとしか考えられない、どうしよう…
そうだ、あだ名をつけよう。
「バハムート、バハムートだけど…うん、龍君で良いや。あだ名は龍君ね。」
『…名前は彼と同じバハムートだけど、あだ名は龍君?キミらしいね。よろしく、レイル。』
そう言ってバハムートもとい龍君は私の身体をすり抜けて言った。
少し身体が重くなった気がした。
『何時でも…喚んでね。』
そう言って龍君は消えた。
「ゴメン、そしてありがとう。」
私は祈り子の間を去った。
あれから…私がレイルと言う召喚士になって一週間だろうか。
一先ず知り合いを通して仕事の休暇を各地へ伝えた。
その後旅の道具を作ったり、買ったり…と、様々な準備をした。
「白魔風ローブにクラウンロッド。後、市販の小刀と防具…戦闘用装備はこれで良し。
戦闘用装備以外は…取り敢えず10万Gilとエーテルを少しに本…かな。」
荷物を順番に鞄へ詰め込んで行き、気付けば夜になっていた。
出発は明日…と言っても午前二時くらいに出発しよう。
私は首から銀に光るネックレスを外し、鞄に入れて布団に入った。
家の光が全て消え、空には無数の星が輝く。
辺りは物音一つ無く、静まり返っていた。
あの日もこんな星空だったのだろうか…いや、覚えていない事を思い出さなくていい。
ローブを鼻まで被り、私は光と音の消えた街を背に歩き出した。
コツコツと響く足音。
今日は船が出ていない、まずはマカラーニャからだ。