独奏の堕天使

□*???編*ある召喚士のお話
2ページ/6ページ

『久しぶり。』

「久しぶりね、バハムート。」

彼は疑問に思う、何故私がこの場に居るのか。
彼の言葉を待たずに私は言った。

「召喚士にしてくれない?」

『なんで……キミまで…』

「『シン』倒して死ぬ気は無い、勿論敵討ちをしようだなんて思ってない。
ただ、やりたい事…いいえ、やらなきゃいけない事が出来たの。
達成するには召喚士としての経験が必要だと思う、だから…お願い。」

彼は真っ直ぐな目で私を見る。

『本気…?』

「考えでも読んだ?」

『ごめん…でも、そんな事…!』

「出来るわけない?やらせるわけには行かない?どっちにしろ私はユウナレスカの所まで絶対行く。ね、お願い。」

彼は考えるそぶりを見せた後、溜め息をついた。

『分かった。僕の力をキミに貸すよーー』

「おっと、名前で呼ばないで。今から私は…召喚士レイル。」

『…レイル。じゃあ僕に名前を付けて、僕を喚んで。』

彼は言った。
でも、私にはバハムートとしか考えられない、どうしよう…
そうだ、あだ名をつけよう。

「バハムート、バハムートだけど…うん、龍君で良いや。あだ名は龍君ね。」

『…名前は彼と同じバハムートだけど、あだ名は龍君?キミらしいね。よろしく、レイル。』

そう言ってバハムートもとい龍君は私の身体をすり抜けて言った。
少し身体が重くなった気がした。

『何時でも…喚んでね。』

そう言って龍君は消えた。

「ゴメン、そしてありがとう。」

私は祈り子の間を去った。




あれから…私がレイルと言う召喚士になって一週間だろうか。
一先ず知り合いを通して仕事の休暇を各地へ伝えた。
その後旅の道具を作ったり、買ったり…と、様々な準備をした。

「白魔風ローブにクラウンロッド。後、市販の小刀と防具…戦闘用装備はこれで良し。
戦闘用装備以外は…取り敢えず10万Gilとエーテルを少しに本…かな。」

荷物を順番に鞄へ詰め込んで行き、気付けば夜になっていた。
出発は明日…と言っても午前二時くらいに出発しよう。
私は首から銀に光るネックレスを外し、鞄に入れて布団に入った。







家の光が全て消え、空には無数の星が輝く。
辺りは物音一つ無く、静まり返っていた。
あの日もこんな星空だったのだろうか…いや、覚えていない事を思い出さなくていい。
ローブを鼻まで被り、私は光と音の消えた街を背に歩き出した。
コツコツと響く足音。
今日は船が出ていない、まずはマカラーニャからだ。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ