独奏の堕天使

□☆十七歳〜十八歳編☆質問ラッシュ
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「ブラスカ……」

本人の倍はあるであろう大きさの像の顔を見上げ、途切れそうな声で名前を呼ぶ。

私、大きくなったよ。
強くなったよ。
今ならどんな魔物が相手だって勝てるよ。
…例え、『シン』でも。
ガードとしてブラスカを守れるよ。
だから……


ーーーだから何?
今出来たって仕方が無い。
守れなくて、何も知らなくて、足手まとい。
でも、それは昔の話。
そう、ブラスカが死んだのも昔の話。
今出来たって仕方が無い、あの時出来なければ仕方が無いんだ。

あの時、今の強ささえあればブラスカは死ななかった。
あの時、今の強ささえあればジェクトは究極召喚の祈り子にならずにすんだ。
あの時、今の強ささえあればユウナはブラスカを失うことはなかった。
あの時、今の強ささえあればティーダはジェクトと再会出来たかもしれない。
あの時、今の強ささえあればアーロンが居なくなることもなかった。

次から次へと出てくる後悔の波。
ユウナにあったからだろう、今まで以上に強く…大きく私の心を抉っていく。

「どーしたんスか?」

「ティーダ…」

波を止めてくれたのはティーダだった。
その明るい一言で押し寄せて来る波は大人しくなった。
…流石太陽と言った所かな。

「なんか、辛そーな感じだったけど…」

「大丈夫大丈夫!皆は?」

「ほらそこに……あっ!置いてかれる!!」

皆は試練の間に向かう階段を登って居た。

ティーダは階段を駆け上がって、私は歩いて皆を追いかける。






「祈り子様はこの下にいらっしゃる。さあ、行こうぜ!」

「イノリゴ?」

「その前に試練の間よ、準備は良いわね?ワッカ。」

「よろしくお願いします。」

皆揃ってティーダの疑問をスルーし、昇降機に乗り込んで行く。
私は昇降機に近づかずその場で待っているが、ティーダは皆に続いて乗ろうとする。
…けど、

「うわっ、どうして!!」

キマリに押し出されてしまった。

「ガードじゃないから。」

「ユウナ、頑張ってね。」

「うん。なるべく早く戻るから、待っててね。」

そのまま昇降機はユウナ達を乗せて下がって行く。

「また一日かかったりするんじゃないのー?」

ティーダの言葉はユウナ様御一行には届かない。
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