独奏の堕天使

□★七歳〜八歳編★苦手な物
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どがぁぁぁん!!!!!!!



「!?!?!?!?!?!?」

空気を揺らすその轟音にレインはかなりの焦り、驚いた。
体が何だかガクガクしている。
恐怖、と言うものだ。
音が大きすぎたのか、はてまた発音元が近いのか……
取り敢えずレインは震える体を好奇心で動かし、外に出てみることにした。


扉を開けると焦げ臭い匂いと共に熱気が襲って来た。

「車が爆発したぞー!!」

十人十色の悲鳴が聞こえる中男の人がこう叫んでいるのが聞き取れた。
自分の家から左の方。
そして人が向かう先の逆方向、黒煙が立ち上る場所は自分の家からでも僅かに見えた。
とある車を覆うのは橙の炎と黒い煙。
……何だろう、見てはいけない気がする。
これ以上あの燃える車に近付いてはいけない気がする。
本能と呼ばれる物がレインの中で危険信号を送っていた…………が
レインはその危険信号を無視し、万が一のため家に鍵をかけて燃える車の元に走り出した。












レインが車の元へついた時には消化作業が半分くらい終わっていた。
その中で見たのは
見覚えのある車種。
もう熱で融け出しているナンバープレート。
車から運び出されている二人の人間の焼死体。
そして…………


少し端の方に投げ出されているブリッツボールくらいの大きさのラッピングされた箱。

レインは感じてしまった。
確率は低いのに感じでしまった。


嘘だ…………嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ


そう思っても
完全に否定仕切れていないレイン。


レインは不安を無視して端の方に投げ出されているラッピングされた箱の元へ歩いた。


丁寧に包装紙とリボンで包まれている箱。
リボンと箱の間に一枚の二つ折りにされた紙が挟まっている。
その紙を開くと




『四歳の誕生日おめでとう。いつも家の事ありがとうね、貴女は自慢の娘よ。』




と…………

勢いでレインは箱を抱えたまま車を見た。
もう殆ど読めないはずの車のナンバープレート。
だが、レインには読めた。

自分の誕生日『0915』と言う数字が……自分の両親が使用している車に入っている数字が……

レインは駆け出した。
……いや、逃げ出した。
自分の家に箱を抱えたまま入り、全ての鍵をかける。
そしてベッドにこもり






泣いた。
ひたすら泣いた。
朝が来るまで泣き続けた。
















「…………おかーさん、おとーさん。」
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