独奏の堕天使
□★七歳〜八歳編★苦手な物
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〜回想〜
「じゃあ、良い子にしていてね。」
「はーっい!!」
「誰か来ても黙って居るだけで良いからね。」
「分かってる〜!」
「何かあったらタンスの一番下の本を見るんだよ?」
「も〜、シンパイショーだね〜!」
「あはは、行ってくる。」
「行ってきます。」
「行ってらっしゃ〜いっ!!」
とある家から出て出掛けていく夫婦。
それを見送る幼い幼女。
…………夫婦はレインの両親、幼女は三年前の私だ。
その日はレインの四回目の誕生日。
夫婦は仕事ついでにレインの誕生日プレゼントを買いに行ったのだ。
「さーてとっ!おかーさんとおとーさんは夜まで帰って来ないからー。」
レインはまず洗面所に行き……
「い〜よいしょっ!!」
洗濯かごの中にある家族三人分の洗濯物を洗濯機に詰め込み始めた。
そして分量を測り、洗剤を入れ……
「よ〜い、スタート!!」
洗濯を開始した。
今日四歳になったばかりの幼女のやることでは無いがレインはルンルン気分、スピラで言う『祈りの歌』を口ずさみながら淡々と母親のやる仕事、一般的に言う『家事』をこなしていく。
これが半年前からのレインの日常。
父親はいわゆる『ジャーナリスト』と言う仕事(レインは良く分かっていない)をしていて、母親は有名なブリッツボールの元選手!……だが今は父親の右腕の様な存在。
父親はかなり忙しく、母親も巻き添えをくらい二人揃って朝から晩まで家に居ないことが殆ど。
なのでまだ五歳にも満たないレインが家事全般を行うのである。
この歳で家事を完璧にこなすなどありえないが、学習能力が異常に高いレインの事だ。
気にしないで欲しい。
そんなこんなで夫婦が出てから10時間。
リビングの時計の短針はぴったり7を指している。
もうそろそろ♪
レインはテーブルの上に並んでいる自慢の自作料理を特等席で眺めながら両親の帰りを待ち望んでいた。
早く帰って来ないかなー??
今日はいつも以上に上手に出来ていて、その料理を褒めて貰いたくて仕方がなかった。
その時、ルンルン気分をぶち壊しにする轟音が響き渡った。