独奏の堕天使

□★七歳〜八歳編★お節介と暴走
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ビクッ!!と、いきなり後ろから声をかけられ驚く。
後ろを振り替えると少し見覚えのある金髪ロン毛(?)男の人が立っていた。

「あんたは…」

「私はリンと申します、一応旅行公司のオーナーです。」

誰だっけ?と聞く前にリンと言う人が答える。
そう言えば魔物の話をしていたのもこの人だった。

「…で、何の用っすか?」

安定の男口調で私は対応する。

「先程の言葉通りですよ、ただえさえ珍しい年頃そうなお客様がアルベド語の本を手に取っていたもので、気になりましてね。」

成る程、この謎の文字はアルベド語と言うのか。

「いや、本が好きでたまたま手に取ったのがこの本でな、アルベド語とか全く知らねーんすよ。実際俺には記号文だし。」

「そうですか…」

リンはテンションが軽く下がった感じがした。
アルベドとやらはスピラでは嫌われているのかな?

「でも、興味はあるぜ?アルベド語って、会話を聞いてると話す…リズムってーかそう言うのにてるから、文字を覚えれば何とかなるんじゃねーの?」

励まし半分、好奇心半分でリンに声をかける。
そうするとリンは明るい声で「少し、学んでみますか?」と、言った。
その笑みの裏には何か黒いものがある気がするがなにも無かったことにしておく。
その後、私はリンのアルベド語講座を受けた。
ついでにアルベドの事も教えて貰った。

「ハウロゴ、ニアミニアミ。」《成る程、理解理解。》

「ニアミダマタミベヌメ。ホエベマ、トヒアグチオキウキシマンダルラーヂヌベコミサキヤキョフ。」《理解が早いですね。それでは、お近づきの印に半額サービスでもいたしましょう。》

「まじっすか!?」

何故か行きなりリンがサービスの話をしだした。
何か裏がありそうだが今は良い。
これでブラスカ達の役に立てるかもしれない、金銭的に。

「そうですね、合言葉を言えば半額と言うのでどうでしょうか?」

「のった!!良いぜ、その話。こっちがのむ条件はなんだ?」

「召喚士様のガードをしている様ですし、宣伝で良いですよ。後、出来ればこちらの使用効果を確かめれば良いんですか…」

そう言ったリンが取り出したのは『手榴弾』と言うもの。
爆弾の一種で手軽に全体を攻撃出来ると言うことで。

「ん、まあ良いぜ。で、肝心の合言葉はどーすんのさ。」

「そうですね、それでは『ガンホフギョキ《男装女子》』と言うのはどうでしょう。」

リンの提案した合言葉に私はギョッとした。
…バレてる。

「何を驚いた顔をしているのですか?」

変わらない笑顔で話しかけてくるリン、営業スマイルが一種の恐怖スマイルに見える。

「図星ってやつだな、いつから気付いてたんだ?」

「そうですね、教えてる途中でしょうか。あ、他の店員は気付いてないと思いますよ。幼いのにその演技力は中々の物ですから。」

他の店員は気付いてないと言うことはこの人の観察眼が異常と言うことか、それとも近くによったから気付いたのか……
どっちにしろ口止めかな。

「ブラスカ達が言ってんだ、誰にも言わないでくれよ?リンさん。」

「分かりました。所で、貴女のお名前は?」

「クロヤだ。」

偽名をリンに伝える。が、

「いえ、貴女のお名前は?」

リンは本名を要求してくる。

「俺とアンタは唯の客と店員だ、言う義理はねぇよ。」

「そうでしたね、クロヤさん。もうそろそろお連れ様が心配されるのでは?」

「クロヤー。」

旅行公司の奥からブラスカが私の偽名を呼ぶ声が聞こえてくる。

「お連れ様っつーかこっちが連れられているんだけどな。じゃあな、リンさん。」

「ゆっくりお休みなさいませ。」

そして私はブラスカ達の元へ歩き始めた。

〜〜〜〜〜

部屋にて

「何処へ行っていた。」

部屋に戻るとイライラしているアーロンと風呂に入っているジェクト、今は歯磨き中のブラスカがお出迎えしてくれました。

「旅行公司の入口兼受付にて本を読んだり授業受けたり半額サービスの交渉をしてました。」

私は素直に旅行公司の入口でやっていたことを話す。

「授業?何を習っていた。」

「好奇心半分でアルベド語をマスターしました。」

「……はぁ、」

いや、溜め息つかれても……

「全く、お前というやつは……」

怖いです、相変わらず怖いです。
と、言う事で私は丁度バスタオルを腰に巻いて頭を拭きながら風呂から出てきたジェクトの背後にまわり、一言。

「ジェクトお父さん、アーロンお兄ちゃんが虐めるぅー。」

「レイン、大丈夫か?おいアーロン、可愛いレインを虐めるなよ。」

ジェクトが上手にのってくれた。
悪ふざけはお好きなようで。
って、このままだとアーロンもジェクトの息子になるんじゃ…
…気にしないでおこう。

「あんたらは……」

「まあまあ…良いじゃないか、楽しそうで。」

「……付き合ってられません。」

そう言ったアーロンは寝始めてしまった。

「ジェクトお父さーん、アーロンお兄ちゃんが拗ねたよー!」

私のアーロン弄りは続く。

「そうだな!ったくー、相変わらずのカタブツだぜ。」

ジェクトの悪のりも中々の物ですな。

「だねー、もっと楽しく行かなきゃ!」

「いい加減にしろ!お前らももう寝ろ!!」

弄っていたらアーロンが怒鳴ってしまった。

「明日も少し早めに行くからね、二人とも寝た方が良いと思うよ。」

「はーい!」

ブラスカの後押しで私は悪ふざけを止めてアーロンの隣で寝始める。
意外と疲れていたようで私はすぐに寝てしまった。

「アーロン…言葉がきついね。」

「心配してんのはわかんだけどよ。堅いな、やっぱよ。」

「レインはアーロンがいつもピリピリしているから、少しでも柔らかく…笑って欲しいんじゃないかな。」

「で、俺は巻き込まれると。」

「ははっ、結局二人ともお互いを心配する余りにこうなってしまうんだろうね。」

「だな…。ブラスカも寝な、そろそろよ。」

「そうだね、そうするよ。」

そう言ってブラスカとジェクトも布団に入って寝始めた。


この会話をアーロンがさりげなく聞いていたのを二人とも知らない。
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