独奏の堕天使
□★七歳〜八歳編★お節介と暴走
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「なっが!!」
ミヘン街道を見た一番最初の感想はこれである。
因みにここは魔物が出る癖に人通りが多い見たいで私はいつもの演技を強要されている。
「おいおい、こんな長さで今日中にキノコ岩街道ってトコに行けんのかよ?」
「魔物に一切遭遇しなくても半日かかるよ。」
「貴様…死ぬ気か?」
ジェクトの疑問にブラスカとアーロンが現実を突きつける。
「マジかよ……」
「途中に旅行公司があるからそこで休憩、その後はチョコボを借りて進むつもりだよ。」
チョコボ?何だろう……乗り物かな?
チョコボを知らない私は頭の上にポンポンポンと三つの『?』を浮かべる。
「何それ?と言った表情だな。」
「説明要求ー。」
私はアーロンに説明を求める。
「見れば分かる。」
「……ケチ。」
や っ ぱ り 。
アーロンは私の要求を拒否(?)する。
反応を楽しんでるんじゃないの?
〜〜〜〜〜
「クロヤ!そっち行ったぞ!!」
「分かってるってーの!『ファイラ』!!」
「あっ、あぶね!!」
私達四人は今絶賛戦闘中である。
目の前には四匹のミヘンファングと二体のデュアルホーン、ボムやフロートアイやらetc……
流石に多すぎやしません?
「まずいね……」
「こちらの体力が削れていくだけです、どうしましょう。」
「よし。三人とも、下がってくれ。」
ブラスカは私達を下がらせる。
そして……
「頼むよ、イフリート。」
キーリカの召喚獣、イフリートを喚び出した。
イフリートはバハムートやヴァルファーレと違って、地面から出てきた。
そして、大量の魔物に向かって『地獄の火炎』を放つ。
立ち上る炎の柱に私は召喚獣の強さを思い知った。
「ありがとう、イフリート。」
『こんなの敵でもないわ、なんかあればまた喚べ。』
ブラスカとイフリートであろう者の会話が聞こえる。
不思議な感じだった。
そしてイフリートは還っていった。
「さて、進もうか。」
私達は旅行公司に向かって歩き始めた。
〜〜〜〜〜
旅行公司前にて
「やっと着いたぜ……」
「歩き疲れた、真面目に。」
私とジェクトが旅行公司を見て口を開く。
ジェクトは疲れたように見えない。
精神的に疲れたのだろう、あの性格からして。
もう日が落ち始めている。
「やけに魔物が多かった気がするね。」
「はい、もう少し少ないと思っていたのですが……」
余裕の表情でここまでの魔物の量の話をするブラスカとアーロン。
やっぱり元僧兵さんと元僧官さんの体力と精神力は素晴らしいですね。
「もう休もうぜ〜。」
「クロヤに賛成だ、もう歩けねぇよ。」
私とジェクトは勝手に旅行公司に入っていった。
〜〜〜〜〜
「召喚士様、この辺りをチョコボを狙う大型の魔物を潜んでいます。ご注意下さい。」
旅行公司に入ってこんな話を聞いた。
その話を聞いてあのオz―――お兄さんが黙っているわけもなく、
「なぁ、俺達で倒してやらねーか?」
ジェクトが部屋で言い出した。
「何故そうなる。」
アーロンが呆れてジェクトに言う。
「だってよ、困ってんだろ?なら、俺様が助けてやんねーとな。」
「お前はこの旅がどういう事か分かっているのか!?」
「そりゃ…けどよ!『シン』をぶっ倒すだけがスピラのためって訳じゃねーだろ?」
久々にジェクトがまともな事を言っている気がする。
確かにブラスカの旅は先を急ぐ(らしい)けどここで困っている人を放っておくのは気が引ける。
「じゃあ、こうするのはどうだい?もし明日出発までにその魔物が出てきたら倒す、出てこなかったらそのままチョコボを借りて進む。」
「あ、それ賛成!」
ブラスカの素晴らしい提案に私は賛同の声を上げる。
出てきて見ぬ振りはしないってことだし、積極的に探したりもしない。
先を急ぐなら丁度良いと思った。
「んじゃ、そうするか。」
「早く休みましょう、今日は戦いっぱなしですから。」
「ああ、そうだね。」
話はブラスカのお陰で纏まり三人とも休み始めた。
……と言っても寝るにはまだ早いようでアーロンとジェクトは剣を研いでいて、ブラスかは本を読み始めている。
何か暇だなーと思った私は旅行公司の入口兼受付に行く。
入った時から思っていたが入口には案外本があり、その中の一冊を手に取りその場で開く。
…今さらだがフードはしっかり被ってますよ?
「…」
開いた本を見て私は絶句。
読めない。
恐らく文字なのだろう物を見てもさっぱりだ。
「全く分からん。」
パラパラとページを捲るが同じ様な文字らしきものが続くだけ。
だが、挿絵から察するに昔家で見た『人魚姫』と同じ様な話なのだろう。
「その本に興味がありますか?」