独奏の堕天使

□★七歳〜八歳編★アオイウミ
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「のどかで良い村だね。」

ブラスカ御一行がビサイド村に着いての第一声はブラスカだった。
確かにそう思う、自然が沢山あって。
ザナルカンドとは大違いだ。

「レイン、ちゃんと被っているか?」

「被っているけどー、何でフード被って一人称を『俺』にしなきゃなんないのよ!」

私は今、あの時買って貰った服のフードを口しか見えない位置まで深く被っている。
更に、ブラスカとアーロンに「一人称を『俺』にしろ」などと言われた。
……何故に?
ブラスカ曰く

「『シン』を倒した後の人々の反応を見ればわかるよ。」

だそうで
取り敢えず街や村、人前ではこうしろとのこと。

「落ち着いたらユウナをここに連れてきてくれないか?アーロン。」

落ち着く?
何が……

「……分かりました。」

ブラスカの頼みを聞くアーロン。
私はこの会話にどんな意味が込められているのか分からない。

「ブラスカが連れてくれば良いんじゃないの?」

「「……」」

私の提案にブラスカとアーロンは黙る。
微妙な間の後ブラスカが

「色々合ってね、恐らく私はユウナと来れないからアーロンに頼んだんだよ。」

「そーなの。」

いつもの優しい口調の中に悲しみと決意が見えた気がした。

「さてと、寺院って所に行くか!」

ジェクトが固まった空気を解す様に言う。
私達四人は村の入口から真っ直ぐ先にある寺院に向かって歩き出した。

〜〜〜〜〜

「ったく〜、わけわかんねぇよ!!」

ここは試練の間、召喚士を試す場所。
私達……いや、ジェクトはここの試練に苦戦(?)していた。
私?
こんな簡単なの解けない方がおかしい。

「だから、ここにビサイドのスフィアをはめて、そうしたら……『ゴゴゴゴゴ』ほら、破…だっけ、のスフィアがあって。」
私はジェクトに解き方を教える。
初めて来たのは同じはずなのに、まさかジェクトは脳kゴホ!ゴホ!なのかも知れない。

〜〜〜〜〜

「ほら見なさい!これが私の実力よ!!」

私は隠されていた宝箱を見つけて自慢する。

「全く…すぐ祈り子の間に行けば良いものを…」

「良いじゃないか、こんな感じでもね。」

「しかし、この旅は……」

「アーロン!どうしていっつも口が開けば『しかし……』って。良いじゃん!終わり良ければ全て良しでさっ!!」

私はアーロンに向かって言う。
アーロンは『全く…』とでも言いそうな表情をしている。

「そうだぜ、カタブツ。緩く行こうや。」

「……もう良い。」

アーロンは私とジェクトに呆れて歩き始める。

「あーっ!先行かないでよぉ!!」

その後を走って追いかける私。
ジェクトとブラスカは笑いながら歩いている。


その後、ブラスカは無事ビサイド寺院の召喚獣、『ヴァルファーレ』を手に入れましたとさ。

〜〜〜〜〜

「そう言えば二人ともまだ召喚獣を見たことが無かったね。」

夕方にブラスカがこのようなことを言い出した。
確かに、ジェクトは知らないが私は召喚獣を見たことが無い。

「ブラスカ様、このような事をするならば少しでもお身体を休ませた方が宜しいのでは無いでしょうか。」

アーロンの固い一言、でもそれはブラスカを思っての事だと言うことが良く分かる。
そんなアーロンの気遣いに対してブラスカは、

「私は大丈夫だ、アーロン。それよりこれから共に旅をする仲間だ、互いの顔くらいは知っておいた方が良いと思わないか?」

「…分かりました。」

アーロンが先程に比べて引きが早く……いや、諦めが早くなった気がした。
そして、ブラスカは村より少し離れた場所でベベル寺院の召喚獣、『バハムート』を呼び出した。
上空から黒い龍の様な生き物が凄い勢いで降りて来て、着地した。
その時

『やあ、レイン。』

「!!」


いきなり少年の様な声が聞こえて私は左右を見渡す。
先程との変化はバハムートだけ。
だっ、誰!?
レインは不安になる。

「レイン、どうした?バハムートにでもビビっちまったのか?」

ジェクトが笑いながら私に声をかける。
その後に先程の少年の声が聞こえる。

『どうやらちゃんと聞こえているようだね、伝えたいことは思えば伝わって来るから。』

「ううん、何でもないよ。」

(貴方は何ですか?)

私はジェクトと少年、両方に返事をする。
少年に届いているのかは疑問だが。

「そうか、そっちの方が面白れぇんだけどな。」

「なにおう!?」

私はジェクトの発言にツッコミを入れる。
そこに少年が、

『少し、止めるよ。』

と言った。

(え?何を…)

私は言葉を伝え終わる前に今の状況に驚いていた。
三人がいきなり動かなくなった。

「アーロン、動いて。ジェクトも、ブラスカも、悪ふざけしないの。」

私はいきなり動かなくなった三人をゆする。
だが三人は立ったままびくともしない。
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