独奏の堕天使
□★七歳〜八歳編★事前準備
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【二十八分後】
取り敢えず牢で使えそうな黒魔法と剣の技を調べる。牢が多少広いのも幸いし、使えるか試した所、案外使えそうで安心。
今回使おうと思うのはブラスカから直で教えてもらった初級に分類されるファイア、ウォーター、サンダー、ブリザド、ケアル。ジェクトが状態異常をかけてくるとは思えないのでエスナは使わないだろう。
それに加えて黒魔法はグラビデとバイオ。
技の方はアーロンから直で教えてもらったパワーブレイクとメンタルブレイク。今思えばこの二つで良かったと思う。
さらに、ディレイアタックとクイックトリックを使おうと思う。ジェクトはブリッツのスター選手、攻撃力とスピード、体力もかなりの物だと考えられた。
なので、まずグラビデで足止めしてバイオを確実に当てる。毒で地道に体力を削りながら剣技で攻撃力と魔法防御、スピードを落として様々な距離から攻撃をする。
うん、作戦としては良い感じ。
作戦を考えていたら残っていた二分がいつの間にか過ぎ去っていた。私は急いでグレートブリッジに向かう。
グレートブリッジに着くとジェクトが腕を組んで堂々と待っていた。ジェクトの右側に刺さっている大剣、あれが武器だろう。
アーロンとブラスカは少し端の方で傍観を始めていた。
「ごめん、少し遅れた。」
「気にすんな、ちょっとだけだろ?」
「だけど待たせたから…」
「こんなん待ったの内に入んねーよ。さてと、始めっか!」
ジェクトの言葉を聞いたブラスカが少し前に出てきて話し始めた。
「二人とも、明日は一応出発だから体を壊さない程度にね。」
ジェクトの方を見ているのが気に入らない、多分ジェクトがやり過ぎると思っているんだろう。作戦通りに行けばジェクトの方が体を壊しかねないのに、ね。
「お手柔らかにお願いします。」
「レインからそんな言葉が出るとは思わなかったぜ、だけど手加減はできねぇな。」
そんな言葉って何よ、まだ子供扱いしてんの?
全く子供だからって甘く見られているね。
そして、そんな子供相手に本気で戦うなんて、大人げないと思う。
「ですよね。ブラスカ、合図お願いします。」
「分かった。降参、もしくは私かアーロンが止めたら終了だからね。」
恐らく二人のどちらかが止めるだろう。
「降参?そんなんするわけねーだろ。」
ジェクトがこれだから。
「では、よーい。」
私とジェクトは武器を構えた。
…その場に沈黙が流れる。
「始め!!」
ブラスカの合図でジェクトは一気にこちらに向かって走り出した。
だけど私は走らず、息を整えて。
「せいっ!!」
グラビデを発動する。
「なっ、」
ジェクトは自分の体がいきなり重くなった事に驚いた表情をしている。驚いているのはジェクトだけでは無かった。
「ブラスカ様、いつの間に教えたんですか?」
「いや、私が教えた黒魔法は初級の4つだけだよ。」
(まさか、本を読んだだけで…)
「そこ!!」
グラビデで上手く動けていないジェクトに私は正確にバイオを当てる。
「ぐっ…」
ジェクトが毒をうける。第一段階、成功。
私は少しニヤっとしてにジェクトとの距離を縮めるために一気に走り出す。