独奏の堕天使
□★七歳〜八歳編★出会い
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アーロンは私に細かく、そして詳しく話してくれた。
この世界はスピラと呼ばれていて、今居る場所はベベルと言う場所。ザナルカンドは1000年前に滅んでおり、現在は遺跡となっている。
ブラスカは召喚士と呼ばれる存在で、その召喚士は寺院と呼ばれる各地にある施設を巡って旅をする。最後に『シン』と呼ばれる魔物らしき物を倒さなければ行けない。召喚士には基本ガードと言う護衛二、三人ついていて、アーロンはそのガードらしい。(恐らくジェクトもそうなるであろう。)
旅の目的地がさっき聞こえた通りザナルカンド遺跡であり、丁度ザナルカンドと言う街から来たと言って暴れて捕まっているジェクトをブラスカが見つけた。だから一緒にガードとして連れて行こうと言う事になっている。
……うん、取り敢えずブラスカやアーロンはスピラ中を回って旅をして『シン』を倒す…って感じ?
「と、まあこんな感じだ。」
「分かりずらいなー。」
「子供に話す内容ではないから分かりにくくて当然だ。それで、行くあてはないんだろう?どうするんだ?」
行くあて…私はこのまま立ち止まってて良いのだろうか。
…いや、駄目。
このままなんて嫌だ、いつまでも流されていないで、変わらなきゃ。
「……私、旅について行く。大変そうなの、分かってる!足手まといになるかもしれないし、戦力外かもしれないけど…ついて行きたい。」
「そうか……でも、」
「でも?」
丁度彼方の話し合いも終わった様で此方に近づいて来る。
「レイン、私の旅に居ついて来るかい?」
ブラスカはしゃがみ込んで私に聞いた。
「行きます。」
私は迷いなく答える。
「そうか…じゃあ仕方ないね。」
「ブラスカ様!!やはり、幼い子供が旅に同行など…!!」
「彼女はジェクトと同じ所から来た。
もしかしたらザナルカンドが二人の住む街かもしれない…それなら帰れる可能性があるのに置いていくのは可哀想だろう?」
「ですが…!」
「これは私の決定だよ?レイン、明後日出発だ。大丈夫かい?」
その時のブラスカは強かった。何か分からないけど、強い意志を持っている雰囲気が。
そして、出発は案外早く、理由を聞くとブラスカには私と同い年と思われるの娘さんがいるらしく置いていく決心が揺らがないうちに…だそうだ。
アーロンとジェクトはブラスカに合わせるとのこと。
「なあ、レインにはやっぱよぉ…ちとキツイんじゃねーか?」
先ほどまで黙っていたジェクトが言い出す。
「文句を言うな、俺も不本意だが貴様に決定権は無い。この旅はブラスカ様のなのだぞ。」
アーロンがジェクトに向かってキツイ言葉を言う。
「そりゃーそうだけどよ、こう見るとやっぱ10歳にもなってねぇ唯のガキだろ?下手したら俺んとこのチビと同じなんじゃねーのか?」
『ガキ』、この言葉に私は怒りと焦りを覚えた。確かに私は七歳、ジェクトの言うことは合っている。合っているのだが、
「馬鹿に…しないでよ……」
「あぁン?聞こえねーなぁ、ガキんちょ。」
ジェクトが挑発してくる。私はまんまとその挑発に乗ってしまった。